弱い力

 ケネス・W・フォード著「【送料無料】不思議な量子 [ ケネス・W.フォード ]」からの引用。

 弱い力(弱い相互作用)は、放射能のβ崩壊など、ニュートリノを伴ういろいろな変化にからむ。重力よりずっと強いのだが、電磁力や強い力よりはずっと弱い。弱い力を仲介するのが、「ウィークボソン」ともいうW粒子とZ粒子。どちらも陽子の80倍以上も重い、巨大な「暴れん坊ボース粒子」だといってよい。
 1943年にβ崩壊の理論を出したときエンリコ・フェルミは、陽子・中性子・電子・ニュートリノの4つ組が、直接に弱い相互作用を起こすとみた。以後しばらく物理学者は、相互作用には1個以上の「交換粒子」(いま「力を伝える粒子」と呼ぶもの)がからみ、中性子中性子でいる間と、中性子が消えて陽子・電子・反ニュートリノが生まれる瞬間までのごく短い間だけ、交換粒子が働くと推測した。
 ようやく1983年に、ジュネーブ・CERNの巨大な陽子シンクロトロンを使う実験で、W粒子とZ粒子が見つかる。W粒子とZ粒子は、正電荷W^+)・負電荷W^-)・中性(Z^0)の三兄弟だから、そのむかし強い核力を伝える三つ組だと思われていたパイ中間子にそっくり。だがW・Z粒子の三兄弟は、パイ中間子の三つ組kと途方もない差がある。パイ中間子は、クォーク+反クォークからできた、かなり大きい複合粒子だ。かたやW・Z粒子は、大きさも成分もない素粒子だった。質量はパイ中間子よりずっと大きいのに。

 ちなみに、パイ中間子の質量は、139.6MeV(+、−)と135.0MeV(0)で、W粒子の質量は、80400MeV(+、−)、Z粒子は91190MeV。W・Z粒子の方がだいぶ重い。しかし、大きさも成分もないという。この辺が感覚的にわかりにくいところだ。