新潟県上越市沖の海底にメタンハイドレートの気泡を発見

産総研の報道発表

 海底から噴出するメタンがただちにメタンハイドレート化し、その後海水中を上昇して、最後は浅層で分解する様子を、世界で初めてビデオ撮影することに成功した。
 新潟県上越市沖の海底から600mの高さにまでメタンガス気泡の柱(=メタンプルーム)を噴き出しているメタン噴出孔を無人探査機で調査した。そこでは、メタンは噴出後、直ちにメタンハイドレートに変わっていることが初めて明らかになった。深海底から湧き出したメタンは、通常は海水に溶解し、やがて酸化されて炭酸となるため、メタンとして表層に達することはないとこれまでは考えられている。しかしながら、上越沖では、気泡全体がメタンハイドレート化し、あるいはメタンハイドレートの皮膜で覆われるため、海水に溶けることなく浅海層にまで運ばれることが分かった。このことが、本海域の浅海層のメタン濃度異常の原因と考えられる。今回の発見により、海底下のメタンハイドレートシステムが直接に大気海洋系に影響し得ることが明らかとなった。

 海底から湧出したメタンガスの気泡は海水に溶けて消滅し、あるいは微生物の代謝で消費されるため海洋表層に達することはまれで、大気のメタン濃度の上昇=温室効果に寄与することは殆どないと考えられているらしい。ところが、冷たい海の深海では、噴出したメタンガスが直ちにメタンハイドレートに変わって、海の浅いところまで運ばれているのが確認されたというもの。地球温暖化に海底から湧き出したメタンガスも関与している可能性があるのではないかとの指摘もあるみたいだ。
 こういった場所がどのくらい分布しているのかという部分がわからないと、地球温暖化に関与しているかどうかはわからない。メタンハイドレートの埋蔵量は未だによくわかっていないみたいだ。ただ、天然ガスよりもかなり少ないとの推測もあるようだ。