チンパンジーが4300年前に作った打製石器を発見

 読売新聞の記事

チンパンジーが4300年前に作った打製石器を発見

【ヒューストン(米テキサス州)=増満浩志】チンパンジーが4300年前に作った打製石器をアフリカのコートジボワールで発見したと、カナダと米英独の共同研究チームが12日、発表した。

 この地域に現生するチンパンジーは木の実を割る道具として石を使うが、研究チームは「人間をまねて始めたのではなく、人類との共通祖先から受け継がれているのかもしれない」と指摘。近く米科学アカデミー紀要に掲載される。

 カルガリー大(カナダ)のジュリオ・メルカデル教授らが、コートジボワール南部のタイ国立公園で2001年と03年に調査を行い、石器や加工くずなど石片206個を採取。このうち2センチ以上の64個を詳しく分析した。

 その結果、<1>人類の石器より大きく、現生チンパンジーが使う石の大きさに近い<2>人類の石器に多い石英などではなく、現生チンパンジーが好む花崗(かこう)岩<3>チンパンジーの栄養源である木の実のでんぷんが一部の石器に付着していた――などの特徴が分かった。

 現地は熱帯雨林で、開墾されていなかった4300年前は人間もほとんどいなかったと考えられることから、研究チームは「チンパンジーの石器時代は遅くともこの時期に始まっていた」と結論した。ただ、その起源については、「人類との共通祖先までさかのぼる」「人類とチンパンジーが別々に発展させた」など、様々な可能性があるとしている。
(2007年2月13日19時41分 読売新聞)

 どうも、言語を話し出す以前に脳の左右差が生じていた可能性が大きいらしい。ラマチャンドランは、「脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ
」の中で次のように書いている。

 下等哺乳類とサルと大型類人猿と人類の脳を比較すると、TPOと角回が、爆発的と言えるほど拡大してきているのがわかります。人類はとくにそうです。そもそもこの能力は、樹上で生きのび、手でものをつかみ、枝から枝に飛び移るのを助けるために進化したと私は考えています。そうするためには、腕や指の角度を調節し、(筋や関節の受容器からの信号によってつくられる)固有感覚の地図が、枝の視覚的外形の水平性(光子のの水平的配列)とマッチするようにしなくてはなりません。角回がしだいに大きくなったのはそのためです。しかし、クロスモーダルな抽象化に従事する能力がいったん発達すると、その構造が、人類の得意とするほかのタイプの抽象化、すなわちメタファーやそのほかのタイプの抽象化の外適応になったのです。このように、ある構造が、もともとそのために進化した機能以外の機能のために日和見的に乗っ取られるのは、生物の世界では例外というよりむしろ規則のようなものです。

 新聞の記事が本当なら、4300年前には、チンパンジーはTPOと角回を拡大させていたということになる。しかし、言語を司る機能は、4300年経っても発達していないとも言える。