ビジネスホテルのユニットバス

 昨日、ホテルの企画提案を行っている大成建設の方のお話しを聞いてきた。その中で、ビジネスホテルのユニットバスのはなしが面白かった。
 ビジネスホテルのユニットバスは、30年前から今の形で、全然変わっていないらしい。宿泊者にアンケートをとってみると非常に不評で、「バスと洗面所を分けているカーテンがまといついてわずらわしい」とか「洗面所の鏡がすぐくもる」、「洗面所やトイレがすぐ濡れてしまう」など利用者にとってはこの上もなく使いづらいという結果になったそうである。特に、女性の場合、ユニットバス内にある鏡は、化粧などをするときに非常に使いづらいらしい。
 そういわれてみると出張の度に同じように感じた人も多いのではないだろうか。自分も同じ思いを何度もしている。では、どうして改良されないのだろうか。大成建設の方がユニットバスメーカーに尋ねてみると、ホテルオーナーーから改良依頼がまったくなく、現在ではビジネスホテル用のユニットバスの設計担当者もいないらしい。ホテルオーナーからは、コスト削減の要望しか出てこなかったとメーカー側は説明したという。
 利用者が求める快適性とホテルオーナーの要望が乖離していて、30年間放置されているのが現実だ。
 ある物を設計する場合、自分が使ってみて満足いくかを判断基準にするという考え方がある。出来上がった物に満足するのではなく、実際自分が使ってみたときにどう思うかを考えて設計をするといった考え方だ。
 ビジネスホテルのユニットバスの場合、ホテルオーナーにもユニットバス製造メーカーにもこの観点が抜けていると感じる。ユニットバス設計者がビジネスホテルに泊まったときにどういう感想を持っていたのかを聞いてみたい気がする。