中国、世界の大豆の43%を輸入

 第2回アジア水循環シンポジウム(1/10開催)でのアンドルー・マシューズ 氏(アジア太平洋気候変動研究ネットワーク科学委員会議長)発言がサイエンスポータルサイトに掲載されている。

 地球上に水はたくさんある。しかし、淡水、それも利用可能な水はそのうちのわずかで、水不足は深刻になりつつある。アジア太平洋気候変動研究ネットワークは、21カ国で構成されているが、この中で特に中国の世界経済、近隣諸国に与える影響は大きい。
 例えば、中国はずっと大豆を自給自足していたが、今や世界の大豆の43%を輸入している。中国では灌漑(かんがい)が重要になったためで、(水を大豆生産に回せなくなったという)大きな転換だ。つまり、大豆の輸入は、実質的には水のトランスポート(輸送)である。ブラジルが、この大豆(水)のギャップを埋めている。

 中国が、大豆を輸入しているというのはびっくり。灌漑が重要になり、大豆を自給自足できなくなっているらしい。一方、中国と川を共有する国々では、中国が川の上流でダムを建設したため、川の水量が少なくなり、生活に困っているというニュースも聞いたことがある。水に関する問題がもう始まっていると見た方が良いかもしれない。

 水不足は、大都市の増加、都市の膨張によって、より深刻になっており、水を巡って激しい戦いがある。南アジアではかなりの水を地下からくみ上げており、地下水をくみ上げる井戸の数が、1970年から2000年の間に100万から2000万に増えている。水をどうやって確保するか、水資源の価値を上げるにはどうするか、が重要な課題になっている。

 望ましくは、川の水を利用したシステムを優先して利用する方が良いと思う。しかし、川は局在化しているから、国によっては地下水に頼らざる得ない場合もでてくるだろう。ロシアとウクライナの問題で、石油のパイプラインが止まり、ヨーロッパへの石油供給がストップした事件でもわかるとおり、国と国を結ぶ川の場合、政治的な対立が供給を妨げる可能性がある。しかし、地下水は、百年単位で形成されるものなので、地下水を利用しすぎると、ある意味で備蓄したものを使いはたしてしまう可能性がある。また、日本で起きたように地盤沈下の恐れもある。できれば、川を利用したシステムを考案してほしい。