空気中の水分

久保田昌治・西本右子共著「これでわかる水の基礎知識」からの引用。

 地球大気(空気)は窒素や酸素のほかいくつかの気体分子が混じり合った混合気体である。そのうち水蒸気は高さ、場所、時刻によって著しく変動するため、一般に空気は「乾燥空気」と水蒸気」の混合気体として取り扱われることになる。(中略)
 地上から高さ約80kmまでの大気はよく混合されていて、大気を構成する水以外の主な成分の割合はほとんど一定である。水蒸気は地球大気の成分として重要であるが、大気の気温、気圧で容易に凝結するため、高さ、場所、時間によって量が大きく変化する。秋になって天高く感じられるのは、夏に比べて気温が下がり、大気中の水蒸気量が少なくなってきたからであり、飛行機の中で空気が乾燥しているのは、上空の水蒸気量が少ない空気を機内に取り込むためである。(中略)
 1気圧(101325Pa)、27℃では空気1kg当たり最大約22.5gの水蒸気を含むことができる。この値は重量比で2.3%、体積比で4%になる。気温が0℃付近のときは、4.0gにまで減少し、重量比で0.4%、体積比で0.06%にまで減少する。空気中に含まれる水蒸気の量が湿度であるが、体積1m3の空気中に含まれる水蒸気量をg単位であらわしたものが絶対湿度、空気中の水蒸気圧と飽和水上気圧の比を%であらわしたものが相対湿度である。冬季には絶対湿度が低下するため、空気中の水分が少なくなって、静電気が発生しやすくなる。また鉄のさびは日本では絶対湿度が高い梅雨の時期や夏期に進行しやすい。これは表面に吸着した水に溶解したFe2+が水のOH-と結びついてFe(OH)2が発生し、空気中の酸素と結びついて鉄さびの特徴的な成分であるオキシ水酸化鉄(FeOOH)となるからである。
 地球が誕生した頃の地球の大気は水蒸気と二酸化炭素が主成分であったと考えられている。地球の温度が低下するにつれて水蒸気が凝結して海洋が形成され、海洋に二酸化炭素が溶解していったと説明される。近年、地球上の二酸化炭素濃度の増大が問題視されている。何十億年もかけて一定となった大気のバランスが崩れだしてきているのではなかろうか。

 気温が下がると思っていた以上に水蒸気量が下がっている。そういえば、今年は暖冬であまり静電気の悪さにあっていない。やはり温度が高いということであろう。