わかったこと、わからないこと

 谷口義明著「暗黒宇宙の謎―宇宙をあやつる暗黒の正体とは (ブルーバックス)」からの引用。

 WMAP(2001年6月に背景放射を探査することを目的に打ち上げられた衛生探査機)は、宇宙論に関して金字塔ともいえる観測結果を出した。宇宙年齢、ハッブル定数、そして密度パラメータをかなりの精度で決めてしまったのである。ちなみに宇宙年齢は誤差を入れて書くと137±2億年である。誤差は±2億年しかない。驚きとしかいいようがない。
 密度パラメータに関しても、凄いことを教えてくれた。まず、宇宙は平坦であることを示し、インフレーション宇宙論を確たるものにした。さらに宇宙の質量密度を担うものを明らかにした。しかし、それは驚愕の結果でもあった。なぜなら、私たちが知っているバリオンは総質量密度に対して、たった4パーセントしか寄与していないというのである。残りの96パーセントは私たちの知らないものである。その内訳は、23パーセントがダークマター、73パーセントがデー区エネルギーだというのである。
 これで本当にダークな宇宙になってしまった。ダークマターダークエネルギー。これらが宇宙の黒幕だったのである。

 ダークエネルギーの73%は、アインシュタインの宇宙方程式に恣意的に導入された宇宙項、あるいは宇宙定数と呼ばれるものに相当するらしい。宇宙定数は、アインシュタインが宇宙は平坦であり、膨張も収縮もしていないと考え導入したものだ。その後、ハッブルが、宇宙が膨張していることを観測データから導き出したときに、アインシュタインによって取り除かれた定数だ。しかし、21世紀に入って新たな観測結果がでて、ふたたび登場することになった。ただし、宇宙定数は本当に定数なのかどうかはわかっていない。変数である可能性もあるらしいのだ。