第19回化学物質と環境円卓会議

 昨日、地域連携に基づく環境教育の推進をテーマとした「第19回化学物質と環境円卓会議」を傍聴してきた。NPO、産業界、そして行政から地域密着型の環境教育の取り組みについて話題提供が合った後、討論となった。
 産業界からの話題提供のなかで、今後の課題として、「環境に関して無関心層が増えているのではないか」との指摘があり、日本チェーンストア協会の方からも同様の危惧が投げかけられた。つまり、環境に興味をもっている方々は、積極的に環境問題に取り組んでいるが、その一方で、環境に対してまったく無関心な人たちが増えているのではないかとの指摘である。
 この化学物質と環境円卓会議は、行政、市民、産業界の代表が顔を揃え、化学物質と環境に関して認識を共有できる場として、有識者を加えたかたちで行われている。市民の代表は、主に化学物質に対して否定的な団体の代表が多く、ほんとうに市民を代表しているのかという疑問は前から持っていたのだが、産業界も工業会から代表が出ていて、やはり大手企業の意見しか反映されていないかたちになっているのではないかと今回傍聴して感じた。
 無関心層が増えているとの指摘に対しての取り組みについての議論で、解決策として、地域密着で行政、市民、産業界がお互いに協力し合い、環境への取り組みを行うことで、無関心層を減らしていこうというのが、結論だったように思う。しかし、話題提供で取り上げられた事例のほとんどが大企業との取り組みであり、中小企業が中心となった事例はまったくなかった。また、環境報告書が環境に対する関心を高めていくという意見も出されたが、ISOに従って、環境報告書を開示できる費用をかけられるのは、大企業のみだと思う。確かに大企業の下請けをしているところは、契約上ISOを取得せざるを得ないところもあるが、かなりの費用負担を課せられているのが実情だと思う。環境省は、中小企業向けにエコアクション21を提案しているが、中小企業で取得しているのは、まだそれほど多くはない。
 こうしたことを考えると、やはり無関心層はかなりいると思う。言い方は悪いが、この会議自体、環境に関心が高い市民と一部の大企業の代表が集まって自己満足の会議をしているのではないかと思えてしまう。本当の意味での市民レベルでの議論にはなっていない気がした。日本チェーンストア協会の方が指摘したニュアンスがいちばん市民レベルに近かったと思う。レジ袋の有料化に対する根強い反対や多くの市民に直接ふれあう機会が多い、チェーンストアだから言えるないようだったと思う。しかし、他のメンバーにはその危惧が理解できていなかったように感じた。無関心層は非常に多く、環境に興味をもっているのはごくわずかとの認識が全くないように思われた。
 傍聴したのは今回が2回目なのだが、前回と同様、メンバーの構成を見直しべきだと感じて帰ってきた。