これからの本屋さん

 談話室たけくまでの竹熊氏と「インターネットの法と慣習」の著者白田氏との対談がおもしろかった。

白田  意識の高いアーティストどころか、一般の個人ですら、自分で複製・流通ができるテクノロジーが整ってしまいました。また、自分の作品の権利は自分で管理しうるし、そうしたほうが自分の利益になる場合も多いということが、だんだん明らかになりつつある。既得権を持つ人たちが、自分たちが支配しているコンテンツを法律や権利でガチガチに守れば守るほど、フリーなコンテンツとのネットワーク上での競争において、自ら不利な状況に入っているわけですね。

 ここで、既得権をもつ人たちとは、版権をもち、著作権を盾にとって商売をしている出版社や音楽メーカーなどを指している。著作権を守るという建前で自分たちの既得権を強化しようとしている人たち。しかし、彼らの抵抗は長続きしないとお二人は主張している。

竹熊 僕もそう思います。僕は雑誌、新聞は持って20〜30年かなと。単行本は別の理由で生き残ると思いますが。
白田 活字メディアに関していうと、僕は物に対するフェティシズムがある限りは残ると思いますよ。

 小説やエッセイなどの中身は、ネットでテキストデータとして配信することがすでに可能になっている。しかし、パソコン上でこれらを読むという作業は案外煩わしいし、読みにくい。そこで、これらのデータを読みやすくオンデマンドで製本してくれるサービスが生まれるという。このサービスは、写真屋さんがデジタル写真のプリントを行うようになったように、本屋さんがはじめるのがよいのではないかというのがお二人のお話。非常に面白いアイディアだと思う。
 本屋さんが今のように出来合いの本を販売するのではなく、お客が持ち込んだテキストデータを製本して、お客の要望に合わせていく。そんな時代が来るといいだろうな。もちろん、自分の書いたものを製本してもらうということもあり得るだろう。本屋というすでにあるネットワークを有効に活用していくことは重要だと思う。