電力線通信解禁?

 総務省の電波監理審議会が、電気のコンセントを利用した高速電力通信を解禁する答申を出したことに、短波放送関連企業、天文学者、アマチュア無線家が反発しているという。この通信方法では、短波に近い電磁波が発生するらしい。

コンセント利用の電力線ネット、解禁へ 天文学者ら反対


 総務省の電波監理審議会(電監審)は13日、電気のコンセントがインターネット端子になる高速電力線通信(PLC)を解禁する答申を出した。総務省は専用装置の許可手続きに向けて省令改正を行うが、電力線(電気配線)から出る雑音電波(ノイズ)で短波放送への混信や天文観測の妨害が起きる恐れがあり、反対意見も強い。答申は、混信・妨害対策の整備や慎重な装置の許可手続きなどを解禁の条件とした。

 PLCは、家庭や職場の電気配線を使ってネット接続する技術。電源コードがネット回線を兼ね、余分な工事なしでネットが使える。テレビとハードディスクレコーダーをつなぐ配線が消え、電話機もコンセントでつなげるようになって、どの部屋にも移せるなどの利点が期待される。政府も01年の「e―Japan重点計画」に盛り込んで推進してきた。

 電源コードとコンセントの間にPLCモデムという装置をはさんで利用する。このとき、電気配線がアンテナのように振る舞い、短波放送や天文観測に使われる周波数帯のノイズが出るのが欠点だ。計画当初から短波放送局やアマチュア無線家、天文学者から反対の声が続いていた。家庭への高速インターネット引き込み回線としての利用は見送られ、家庭や職場の屋内活用だけが検討されていた。

 通信機器メーカーは、すでにPLCモデムを完成し、許可を待つばかり。10月の電子機器展示会で「家庭の各部屋が、便利で簡単にネット接続できる」点を披露する。テレビなどには、出荷時から組み込まれることが見込まれ、4年後に600万台の出荷があるという推計もある。

 会長の羽鳥光俊・中央大学教授は審議後の会見で「反対意見に対して十分配慮した」と話した。

朝日新聞 2006年09月13日

 電気配線は、もともと高い周波数の電気通信を想定していないため、通信時に発生するノイズが漏れ出す恐れがあるらしい。ただ、どの家庭にも電気配線は設置されているため、新たに通信回線をひく必要がなく、安価にインターネットを利用できる可能性がある。従って、爆発的に普及する可能性もあり、ノイズによる被害も多く発生する可能性があるのだろう。
 結局、このノイズ対策を行うために、電気配線をひきなおすなどの作業が生じると、この通信方法のメリットはなくなってしまう。どのように対応していくのだろうか?