ためしてガッテン「環境ホルモン」から見えてきたもの

 先月放映されたためしてガッテン「環境ホルモン」を見てから、NHKのすべての番組、ニュースも含めてエンターテイメントショーに見えて仕方がない。科学番組のコメンテーターが話している内容も構成されているのだなと思ってしまうし、ニュースで流される市民へのインタビューも意図的な質問をした結果なのかなと思ってしまう。
 テレビというメディアは、どうがんばってみても一方向メディアだと思う。NHKや民法の討論番組でFAXやメールを使って市民参加型の双方向番組を模索しているのはわかるが、そこに、番組製作側の選別・選択がどうしても入ってしまうため、双方向になっていないと思うのである。
 行政は、インターネットを利用した情報発信を拡大してきている。各省庁は、審議会の内容をホームページ上で公開したり、パブリックコメントの結果を公表している。リスクコミュニケーションが浸透し始めた結果で、良い情報も悪い情報も公開されている。情報を開示された側(市民サイド)は、それらの情報を吟味した後、パブリックコメントを寄せる。情報を開示した側(行政)は、パブリックコメントを参考に再検討して、その結果をまた公表し、最終結果とする。
 このプロセスは、テレビでは難しいと思う。制作者がどうしても介入するテレビのシステムの場合、入り込みべきではない第三者が入ってしまうため、公平な議論にならない。やはり、インターネットを利用する以外に方法は無いのだと思う。
 リスクコミュニケーションにとって、インターネットとは欠かせない材料になりそうだ。逆の言い方をすると、インターネットの普及がなければ、今の行政の情報公開システムは成り立たなかったのではないだろうか。
 ただ、インターネットが普及したといっても、まだまだテレビから情報を得る人々が圧倒的に多いのも事実だと思う。圧倒的多数の人たちが、制作者やスポンサーの選別・選択を受けた情報しか入手していない。せめて、新聞などの他の情報も読み、比較検討することをしていれば、被害は少ないかもしれないが、活字離れが進んでしまった今、そうしたことを行っている人の数はあまり多くないのでは無いだろうか。
 今の子どもたちは、学校でパソコンを習い、インターネットにふれる機会があるみたいだ。中学生や高校生には、ぜひ、行政が公開している情報の見方、議論の仕方、そして、リスクコミュニケーションについても教えてあげて欲しい。一人でも多くの人が是か非かの単純な二者選択論ではなく、確率論的な思考を活用したある範囲をもった結論を導けるようになってもらいたい。
 子どもたちは、感情論や恐怖心に駆られた不安感、そして天然物思考から安直に判断してしまう大人を見習ってはいけない。