魚の性転換と社会性

 桑村哲生著「性転換する魚たち」によると、ホンソメワケベラは、一夫多妻制の魚で、オスが死んでしまうと、一番大きいメスがオスに性転換するらしい。二番目以降のメスは性転換しない。また、キンギョハナダイは、群れのなかに複数のオスが存在し、オスたちは、生殖時に縄張りを造って行動する。強いオスは、生殖に有利な縄張りを確保し、弱いオスは生殖に不利な縄張りになってしまうため、あまり多く生殖出来ないらしい。キンギョハナダイは、一番強いオスが死んだときに、二番目に大きいオスが、一番強かったオスの縄張りを獲得する。そして、一番下位のオスの縄張りに、メスから性転換したオスが入ることになる。
 逆に、クマノミなどは、メスの方が大きく、メスが死んだときに、オスがメス化する。このように、魚の社会に変化が起きたときだけ魚は性転換する。しかも、すべての魚が性転換するのではなく、優位性を持った個体のみが性転換するらしい。
 「へたれドクターの突撃日記」で性転換する魚がメス化してしまったときにどういう影響が出るのかを疑問視されているが、下水道の流出等により、女性ホルモン等が環境中を汚染してしまった場合、これらの性転換する魚がどうなるかは、よくわかっていないのではないだろうか。ExTEND2005は、まさしくこうした環境変化が生態系にどういう影響を与えるかを調べることを目的の一つとしている。