昨日の「ためしてガッテン」

 昨日、NHKの「ためしてガッテン」で「環境ホルモン」が取り上げられた。「環境ホルモン」という造語をつくり、不安をあおった張本人であるNHKが、10年経ってどういう番組を放映するのか注目して見たが、やっぱりNHKだった。環境ホルモン学会の先生方を登場させ、学会を擁護する番組構成になっていて、今わかっている事実を伏せた報道になっていた。残念である。
 例えば、騒がれていた化学物質よりも人間由来のホルモン物質の方が環境に与える影響が大きいことは、いっさい触れられていない。また、魚介類が環境の変化で性転換を自然に行っていることも伝えていない。そして、物質リスクは、暴露量に依存していることも伝えていない。
 そのため、新たにわかった事実は、大量に物質を与えた結果しか報告できていない。しかもその部分はさらりと述べて、注釈なしときている。
 精子の数え方の話になってくるとこれが最先端でやっていること?と疑りたくなるような映像だった。そもそも精子の数え方が確立されていなかったのであれば、10年前の精子半減報道は何だったのか?そんな疑問を抱かせる報道だった。
 人体にとりつく鍵を持っている合成化学物質が2000もあるとの報道には、もう頭が下がるばかり。合成化学物質に限らないで調べれば恐らく何万という物質があるはずである。それらの影響を一つ一つ調べていくつもりなのだろうか。
 ここに、人間の知恵があり、リスク管理が存在するのである。最後に「環境ホルモン」命名者の一人である井口氏が予防原則を提唱していたが、本末転倒な気がした。