生命進化や脳のしくみに興味を持っている理由

 shokou5さんからトラックバックを頂いた。脳科学専攻の大学院生らしく、自分のようなただのおじさんよりも詳しく言語進化のしくみを調べておられる。これから、言語獲得のしくみを調べていこうと思っている所で、自分よりも詳しく知っている方からのトラックバックは、逆にありがたい。shokou5さん のブログを今後参考としていきたい。
 ちなみに、Houser、Chomsky、Fitch の Science 論文 (2002) (以下 HCF) をきっかけに言語能力の進化をめぐって昨年 Cogntion 誌で繰り広げられた論争に関して、PJ、チョムスキーらに噛み付く (第一ラウンド)JP、チョムスキーに噛み付く(第一ラウンド)②に書かれている。


 自分が、生命進化や脳のしくみに興味を持っているのは、今から約15年前に経験したことがもとになっている。実は、無菌性髄膜炎で約4ヶ月入院するはめになってしまったのである。無菌性ということは原因がわからないと言うことを意味している。どうしてなったのかは未だに不明である。
 このとき、二つのことを経験した。一つは、病気だったとき、自分の感情をコントロールできなくなっていたらしいこと。もう一つは、記憶ができない時期がある一定期間続いたことである。
 前者は、後者の影響もあって、看病してくれた親や見舞いに来てくれた同僚からの話から推測知るしかないのだが、話を聞いてみると感情を自分でコントロールできない自分がその時存在していたという事実がある。病気のせいだから仕方がないと片付けるしかないのだが、自分で感情がまったくコントロールできなくなることがあり得るというのが驚きだった。
 後者の記憶ができないというのは、次のような出来事から判明した。入院して2ヶ月が過ぎ、病状が少しずつ改善してきた頃だった。テレビでラクビーの試合を見ていたとき、見知らぬ外人選手が登場していた。一緒にテレビを見ていた家族に、「この選手いつ登場したの?」と聞いたときのこと、「さっきを同じ質問したじゃない」と切り替えされた。この時点で、少し記憶が戻りつつあったので、このことを覚えているのだが、その時点では、「どうして?」という考えしか浮かばなかった。
 その後、本を一ページ読み、次のページに移ってから前のページに何が書いてあったか思い出すという実験を自分自身にしてみた。すると、前のページの内容をまったく覚えていないのである。もう一度、前のページを読んでみる。まったく読んだ覚えがない。そうこうしているうちに何度か繰り返し読めば、少し覚えていられることができることに気づいた。
 その日から、必ずメモを取る習慣を実施するようになり、約1年そういう生活が続いた。
 この経験は、なかなか経験できるものではない。病気のせいとはいえ自分の脳の中が変化しているということである。無菌性髄膜炎になると髄液の圧が高くなるため脳が圧迫される。そのため、1ヶ月以上意識のない期間が続いた。その影響で自分の脳が何らかの変化を起こしたものと推定している。つまり、ある刺激で脳内部に変化が起きたのではないだろうかと考えたのである。
 その時から脳のしくみや言語のしくみに興味を持ち始めたが、社会復帰し生活が忙しくなる中、それを調べる時間が無くなってしまっていた。
 ブログを書き始めたのがいいきっかけになって、また本をむさぼるように読む習慣が戻りつつある。前のような記憶力はないが、地道にメモることで少しは前に進むこともできる。今、もう一度これらのことを調べてみたい。