生命進化と脳のしくみから見えてくるものは?

 「生命進化8つの謎」や「脳のなかの幽霊」などを読んでいると、自分自身が大きな勘違いをしていることに多々気づく。言語の習得は、遺伝であるらしいし、多くの自分の行動は、自分の意志とは別のところで制御されているらしい。
 言語の習得が遺伝であるという考えは、目に鱗状態だった。幼児期に子供がかなりのスピードで言語を習得していく。しかも、文法はでたらめな状態がしばらく続き、ある時期からある程度正しい文法を自然に身につけていく。「生命進化8つの謎」の著者は、「多くの親たちは、その文法の間違いを直そうとしていない。」と言っている。確かにそうだと思う。一番子供がかわいい時期だから、言葉を話していること自体が親にとってはうれしいことで、文法などどうでも良いのだろう。
 著者は、言語獲得能力が高いのは、2歳から4歳までの期間だと述べている。このとき、子供はどんな言語(例えば、英語や日本語など)でも覚える能力を持っているという。もし、父親がアメリカ人で英語を話し、母親が日本人で日本語だけを話すとする。この場合、子供は二つの言語を苦もせず覚えてしまうのだろうか。恐らくそうなるのだろう。EUでは、国際結婚(例えばイギリス人とドイツ人)が多々見られ、その子供たちは両国の言語を話せるという。大人になってから、いくつもの言語を習得している人も多いのだろうが、幼少時に、こうした経験を積んでいる人は、なおさら多数の言語を習得しやすいのではないか。
 EUのように、各国の協調が必要で、それぞれの文化や言語を尊重する地域では、この数種類の言語が話せることが必要になってきているようだ。全部の人ではないけれど、少なくとも各国の利害関係を話し合う人にはこの能力が必須と見られている。
 生命進化や脳のしくみについて、また、言語についてもう少し深い知識が得られれば、今までとだいぶ違った見方ができるようになるかもしれない。