谷山−志村予想

 サイモン・シン著「フェルマーの最終定理」を読んでいると、谷山豊と志村五郎という日本人の名前が出てくる。彼らが行った予想がフェルマーの最終定理を証明するのに大きく貢献したと記述されいるのである。ウィキペディアによると、谷山−志村予想とは、次のようなものだ。

谷山・志村予想
1955年9月日光で開催された整数論に関する国際会議で、志村五郎と谷山豊は楕円曲線とモジュラー形式の間の深い関係について一つの予想を提唱する。「すべての楕円曲線はモジュラーである」という、発表当時は注目を引かなかったこの谷山・志村予想(今となっては証明されているが)が、のちにフェルマー予想の証明に大きな役割を果たすこととなる。

 サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」にも同じような内容が書かれているが、中身がどういうものなのかいまいち理解していない。
 谷山−志村予想が提唱されたのは、1955年9月だが、フェルマーの最終定理と志村−谷山予想が結びつくのは、1986年で、フライ・セール予想がケン・リベットにより証明された時点である。フライ・セール予想は、フェルマーの最終定理の真偽が、谷山−志村予想が証明されるかどうかにかかっているという結論であった。フライ・セール予想が提唱されたのは、1984年である。
 ちょうどこの時期は、自分が20代の時期で、大学から今の会社に就職した頃の話になる。恥ずかしい話だが、こんな話が世界で展開されていたことをまったく知らなかった。大学は工学系だったので、数学は大学でも学んだが、こういう話は、講義でまったく出てこなかったような気がする。
 この時期は、パソコンが普及し始めた頃で、MS−DOSが主流だった頃だ。当時の工学部に所属していた自分は、パソコンの方ばかりに気がとられ、こうした歴史的な数学の動きにまったく気づいていなかった。
 その時期、インターネットはまだ構想段階で、夢の存在だったような気がする。従って、情報はもっぱら本や雑誌から得るしかなかった。数学の雑誌を購読していれば、この話も載っていたに違いないが、そのような雑誌に目を通してはいなかった。
 最近、物理の世界で、「ヒモ理論」というのが話題になっているらしい。こうした各分野で注目されている話題をウォッチしていくのも良いかも知らない。今なら、インターネットで簡単にできるから。