経済産業省のエネルギー政策5目標に対する考え方

 経済産業省が出したエネルギー政策5目標の解釈について、安井先生の今月の環境読売新聞の社説に批評が載っている。
 読売新聞の社説では、今回の戦略のポイントは、安全保障だと述べている。今まであげていた自由化による価格の引き下げをはずし、安全保障により重点を置いた戦略だと評価している。
 安井先生の方も、「資源の安定確保や核燃料サイクルの早期確立に向けた政策を強化する方針」として、同様の内容をあげている。
 二つの批評を読んで、その違いが出ている部分は、燃料電池車に関する見方。読売新聞では、

 運輸部門の石油依存度引き下げには、サトウキビなど植物から合成するバイオエタノールのガソリン混合と、水素を利用する燃料電池車が欠かせない。自動車業界などの技術開発と、普及を促す支援策の整備を急がねばならない。

と言うように、水素を燃料とした自動車開発が不可欠と言い切っているのに対し、安井先生は、

C先生:水素に関しての記述が無くなったことに着目して欲しい。やっとその点では、正常に戻った。水素が普及する可能性は、毎回述べているように、全く無いのだから当然なのだ。もともと、水素というキーワードは、エネルギー関係の予算を分配するために必要なキーワードに過ぎなかった。

と、水素に関する記述が無くなったことを評価している。経済産業省のプレリリースは見ていないが、安井先生が言っているように、経済産業省が水素に関する記述を削除したのが正解なのだと思う。
 環境に対するとらえ方が普段からある人と、そうでない人の違いがここに出ていておもしろい。水素の貯蔵方法、インフラ整備などを考慮すると、すぐに水素燃料電池自動車が普及するとは思えない。新しい技術を宣伝するあまりその実現可能性が述べられていない自動車業界の発言が、一般人に混乱を招いているのだと思う。新聞の社説を書く人でも解釈を間違えるのだから。
 それにしても、どっちの批評を読むかで、水素燃料電池自動車について、まったく解釈が異なってしまう。これを防ぐには、多くの意見を調べるしかないと思う。