農薬の残留基準の見方

 斎藤くんの残留農薬分析にポジティブ制度施工によって、食糧加工品の残留基準をどう見るかが書かれている。その中で、下記の部分(強調部分)を読んで、なるほどと思った。

 加工食品の検査結果の判断は具体的にはどういうことかというと、10%リンゴ果汁を検査してクロルピリホスが0.07ppm検出されたとする。一律基準0.01ppm以上であり問題となり、原材料のチェックが必要となる。

 クロルピリホスは以前中国産冷凍ホウレンソウで脚光をあびた農薬であり、国内ではリンゴからの検出事例がある。リンゴの残留基準は1.0ppm(1ppmではないので注意。1ppmなら1.4ppmまでは四捨五入で1ppmに丸められ基準を超えないので許されるが、1.0ppmでは1.04ppmまでしか許されない)であるので、果汁10%の場合、1.0×10%=0.10ppmがこの果汁飲料の「違反の蓋然性(恐れ)」判断基準となる。リンゴのクロルピリホス0.07ppmは0.10ppmよりも低い値なので、この果汁飲料は適正な原材料から製造されたと判断され違反の蓋然性はないとなる。

 残留基準が1ppmなら、0.5ppm〜1.4ppmまでは、四捨五入で残留基準に入る。残留基準が1.0ppmなら、9.95ppm〜1.04ppmまでが、残留基準に入ることになる。つまり、有効桁数の問題でこうなるのだろう。逆の見方をすると、検査機の精度はこの有効桁数よりも高いはずで、測定誤差は、この有効桁数よりも少ないと見て良いのだろう。一律基準が0.01ppmだから、測定精度は、これよりも高い、つまり0.001ppm以上ということになる。1ppm(parts per million)は 0.0001%だから、0.0000001%以上の精度があることになる。
 農薬の散布などは、風などの影響もあるだろうから、アバウトな部分が多いと思うのだが、こんな高い精度で残留農薬を管理しなければならないとすると、農家の方々や食品検査にかかわる方々は、大変な苦労だろう。そして、そこに膨大なコストが生じる。
 関係する方々には、申し訳ないのだが、ここまでしないと食品管理ができないのだろうか。これが消費者ニーズだとすると再考すべきではと思ってしまう。自分は、残留農薬にそれほどシビアでないので、今までどおりの方法で管理された野菜で十分。