国際計画を変える可能性のある飢餓に関する5つの驚くべき事実

 食品安全情報ブログに、ユニセフのRainer Gross博士らによる意見が載っている。

「るいそう(痩せ)」は体重/身長比が低いことと定義され、その国の子どもの15%以上が痩せの場合危機が宣言される。子どもたちの栄養不良について解析した。
1つめは一般に信じられていることとは違って、アフリカではほとんどの子どもが痩せであるわけではない。アフリカの一部の地域では痩せの増加などがあるが、世界中の痩せの子どもたちの78%はインド、パキスタン、バングラデシュにいる。インドだけで約2/3である。
2番目は政情安定が必ずしも子どもの栄養不良を解決しない。
3つ目はHIVは栄養不良には直接関与しない。
4つ目は経済成長や政治の安定が自動的に子どもたちの栄養状態の改善に結びつかない
最後に、痩せの問題は危機の際に限らず継続的にヒトの健康を改善するための対策として取り組まなければならない。
Gross R, Webb P. The Lancet, 2006, 367 (April 8, 2006): 1209-1211

 確かに国際計画を変える力を持っているかも知れない。

現在のインドのGDPは6,859億ドル(2004年)で、日本、中国に次いでアジア第3位となっている(ロシアの約1.2倍、ASEANの約9割)。また、外貨準備高も約1,422億ドル(2005年11月現在)と堅実に増加している。
外務省 最近のインド情勢」より

 経済成長率では、IT企業の飛躍もあり、今後数年間10%を目標に掲げている国がインドだ。このインドが子供の痩せの大部分を占めていると言っている。国内の貧富の格差が問題なのだろう。また、インフラ整備が遅れていることも原因かも知れない。環境科学という大学教養の教科書で、産総研の蒲生氏が、こう書かれている。

近年の日本や欧米における著しい平均寿命の延長は、特に乳幼児の死亡率の改善が寄与しているが、肺炎、結核、赤痢といった感染症が十分にコントロールされる用になったことも大きい。また、脳卒中の減少も一役買っている。しばしば、これらの疾病とそれに伴う死亡の減少は、抗生物質などの医薬品の開発や、健康診断の普及のおかげたと思われがちだが、むしろ栄養状態や衛生水準の改善こそが重要であったと考える人も少なくない。

 つまり、上下水道の整備といった衛生面でのインフラ整備が重要だということ。財力を持ち始めたインドにこの部分をどう進めさせるかが、改善の課題となるような気がする。