凝集力と拡散力

 物質の状態は、分子間相互作用に基づく分子同士の凝集力と分子の熱運動に基づく拡散力のバランスで決まる。
拡散力:温度に比例して大きくなる。
凝集力:

  • 分子構造と分子間の距離に依存する。
  • 圧力が高くなるほど分子の密度が上がり大きくなる。
  • 温度にはそれほど依存しない。

超臨界流体:分子同士の相互作用が大きく、熱運動によって自由に動き回る状態。
超臨界流体の最新応用技術より要約

 現行の化学プロセスは、あまり効率的なものではないらしい。常圧下では、スケールアップするに従い、拡散力が大きくなり、凝集力が弱くなる。従って、分子同士が出会う確率は低くなる。その結果、化学反応速度が遅くなったり、未反応部分ができたりするらしい。
 これに対して、凝集力が作用する圧力状態で、拡散力を与えるために高温にし、ナンバリングアップして化学プロセスの効率を上げようとする試みが行われている。これが、超臨界流体での化学プロセスだと言う。
 通常の化学プロセスは、溶媒を使用して液体の状態で反応させる。反応速度を上げるために触媒が使用されている。これに対して、超臨界流体場では、温度と圧力を制御することにより、高速変換、高選択制、高収率が実現できるらしい。
 地球に生物が生まれるちょっと前の地球は、超臨界流体場の状態だったらしい。その状態下で、多くの有機物ができたと話している人もいる。