化学を学ぶ重要性

 平山令明著「暗記しないで化学入門 無機化学編」のはじめにに化学を学ぶ重要性について述べている部分があるので、引用する。

 分子のレベルで物質の成り立ちや変化を理解するための道具が「化学」です。私たち自身を含め、地球上で起こっている非常に多くの現象が分子レベルでの物質の変化ですから、化学が扱える問題は多種多様です。私たちの身の回りにある多くの工業製品、医薬品、化粧品などは、たいてい化学の知識を使って作られています。また環境問題や今後のエネルギー問題の解決を図る場合、化学的知識抜きではとうてい考えることができません。つまり、私たちの生活を維持しさらに改善していく上で、化学は重要かつ本質的な役割を果たしていると言えます。
 ですから、化学を学ぶということは重要です。

 化学にしろ、物理にしろ、この地球上で起きている現象を我々人間が、理解しようという試みであり、そのための道具だと思う。東北大学名誉教授の新井邦夫先生のはなしを昨日聞いてきたが、まだ、地球上で起きている現象のほんのわずかな部分しか、人間は気づいていないらしい。石油から物を作り、使用後廃棄する。その過程で起きる現象に関しては、大方わかってきたが、原子から物質が生まれた過程、つまり生物が誕生してきた過程に関しては何もわかっていない。言われてみればその通りで、新井先生は、ここに化学や物理の未踏の部分があると仰っていた。持続可能な循環型社会の実現には、この部分の解明が不可欠であることも述べられていた。「人工物はだめで、天然の物がよい」という考え方は、逆の見方をすれば、それが出来た過程をまだ人間が理解していないのだから、「訳のわからないものはよい」ということになる。ここらの部分をどう扱っていくかが21世紀のポイントになるような気がした。