EUのRoHS規制

 安井先生の市民のための環境学ガイドでEUのRoHS規制について書かれている。5/14の日記で、予防原則について引用したが、より詳しい解説がなされていた。EUが予防原則になってしまう理由として、EUが作られたときの条約174条を揚げている。

A君:そして、(2)ヨーロッパの環境規制が強くなる理由と予防原則、ですか。
C先生:EUが作られたときの条約の174条にその基本思想が書かれていて、これは守らざるを得ない。
あ)環境保全、環境保護、環境改善。
い)ヒト健康の保護
う)自然資源の慎重かつ合理的な利用
え)地域環境・地球環境を守るための対策の推進
B君:だからといって予防原則的になることは無い。
C先生:174条の2項に、そんな表現がある。「環境は高度に保全することを目標とすべきであり、同時に、各地域の特殊性を考慮すべし。その際、予防原則を基礎とする対策が取られ、汚染はその根源から除去され、かつ、汚染者負担が原則である」。
A君:状況の違う地域、例えば、単純埋め立てや単純焼却がなされてしまう地域で多いのであれば、予防原則を適用して、有害物は使わないのが一番。ということで、RoHSができた。

 この部分は、「大欧州の時代」でもふれられていた。ただ、このことよりも、欧州議員たちが、市民に向けて環境政策で自分をアピールしたいと考えていることの方が、予防原則に走ってしまう原因として大きいと感じたので、日記ではその部分を引用した。
 安井先生は、

 予防原則を追及すると、すでに述べたように、「全面禁止+例外条項」となるのが普通だ。

と言っている。実際、EUのRoHS規制もその通りになっている。また、科学的知見がハッキリしてきたときの対応も遅れがちだと思う。それに対して、日本の環境対策は、

 EUは予防原則でものを考えるが、日本の環境規制は、
あ)汚染者負担原則
い)環境効率重視
う)予防的対策
え)リスクに基づく判断
の4つのバランスだとされていて、EUのように、予防原則だけで判断を下さない。

と言っている。これに、コストを考慮しなければいけないとも述べている。
 このあたりの比較を見る限り、環境政策に関しては、やはり日本の方が進んでいると思える。環境ホルモン政策に関しても、5年目の見直しで、環境省は方向修正を行えた。
EUの環境政策でもぜひ参考にして欲しい。