要約と[http://www.i-foe.org/suitor/index.html:title=準備書面(3)]の主張

シンポジウムでの松井氏のプレゼン内容を要約してみました。どうも松井氏は、環境ホルモン研究が大事であるというよりも、マイクロアレイという研究手段が、生命の秘密を解き明かす大変有効な手段であり、これを有効活用できる次の研究テーマとしてナノ材料をあげているといった雰囲気になります。

これからお見せするスライドは、コミュニケーションすべき内容でどういう問題があるのかということを説明します。その後で、コミュニケーションの話について説明します。
環境省の環境安全課長をされている上家さんの発言「speed98という国家的なプロジェクトをやってわかったことは、わからないことが沢山あることがわかった」は実に的を得ていると思ったんです。
内分泌かく乱物質問題というのは、わからないことがいかに多いかということがわかった。数年前に初めて人類の遺伝子全体が解読できたことが、今までわからなかったことがわかるようになる大きな転機だったと思います。
この内分泌かく乱物質の研究に入った中で、マイクロアレイという研究手段を我々は獲得したんです。これを獲得したことにより、多量の情報が出てくるわけです。この情報をどうやって解読するかが大変なことなんです。
私は最重要な情報獲得手段ができたと思っています。この情報手段からどういうことが見えてきたかというと、ダイナミックな情報がどんどん出てくる。これをどうやって解釈したらいいのかという問題に直面してしまったわけです。
この情報は、多面性をもっていて、女性ホルモンの攪乱というそのエンドポイントだけでは実は評価できない。原因があって結果と簡単には行かないんです。こういう思考方法を考えさせられるきっかけが、今回の環境ホルモンの研究だったわけです。
このように環境ホルモンの研究というのは、人工的化学物質の問題を提起しながら、実は、いままでわかっていなかった生命の秘密が同時に理解されてきています。
まだまだ我々は生命の秘密がわかってないのです。
先ほど中西先生がおっしゃっいましたが、コミュニケーションがへたであったわけです。実は、我々がやっていたことは、生命の本質そのものがわからなかったことが同時にわかってきた。それほど難しい問題に直面していたわけです。
もう一つ、最後になりますけど、我々は予防的にどうやって次の問題に比べるのか、今回学んだ環境ホルモンの研究はどうやって生かせるのか。私は次のチャレンジはナノ粒子だと思っています。ここに書いてあるようにナノ粒子の使い方を間違えると新しい環境汚染になる。我々はこのナノ粒子の問題にどのように対応できるかが一つのチャレンジだと思っています。

原告側が提出した準備書面(3)を読むと、松井氏は環境ホルモン研究の重要性を説明しているとあるのですが、どう読んでもそうは解釈できません。環境ホルモン研究の具体例もマイクロアレイという研究手段の有用性、そして可能性を説明するために使用されているに過ぎません。そして、speed'98でリストされた化学物質の有害性に関しても、マイクロアレイを用いると、こういう結果が見られたという具体例の説明になっています。
要約を作って改めてプレゼン内容を見てみると、松井氏は環境ホルモン研究には、この時点で見切りをつけていたのではないかと推測できます。
そして、準備書面(3)は、代理人が所属している市民団体の主張とは一致しているが、松井氏本人の意志とはかけ離れているように思えます。