赤血球の数の調節と腎臓の働き

生命にとって酸素とは何か―生命を支える中心物質の働きを探る (ブルーバックス)
「生命にとって酸素とは何か」小城勝相著(ブルーバックス)からの要約。

赤血球の数の調節と腎臓の働き
 酸素を運ぶ赤血球にも寿命がある。体中の臓器が酸素を円滑に利用するためには、赤血球の数は体の要求量に保たれている必要がある。
 このため、赤血球の数を調節する仕組みが体に備わっている。赤血球の数を増やすホルモンの一つが、腎臓の旁糸球体細胞から分泌される「エリトロポエチン」というホルモン。腎臓は、血液から不要物を取り除いて尿を作る臓器で、その作業のために結構酸素を使っている。腎臓の入り口には、赤血球の量、あるいは酸素濃度を測定している細胞が存在する。赤血球が不足するとエリトロポエチンを出して、骨髄に赤血球を増やすシグナルを送る。
 腎臓は、なぜ多くの酸素を使うのか。腎臓で尿を作るとき、まず粗く濾過する。腎臓の糸球体には、分子量5万程度の分子が出ていく穴が開いているので、分子量18の水はどんどん出ていくことになる。
 一日の合計では、200リットル近い水が出ていく。そのあと、尿細管で体に必要な水、グルコースアミノ酸などを、それぞれの物質を取り込むタンパク質が再吸収する。水は、ほぼ99%再吸収されるが、その率は、厳密に脳下垂体や副腎から分泌されるホルモンによって調節されている。これらの調節は、私たちが意識しなくても、自律神経や内分泌系によってうまくコントロールされている。
 生物というのは、膨大な化学反応とそれを調節するネットワークだと言えるが、水などの再吸収にはエネルギーがいるので大量の酸素を必要とする。そのため、心臓を出ていく血液の実に四分の一が腎臓に運ばれる。

 人間の体は、腎臓で200リットルもの原尿を作り、そのうち、99%を再利用している。再吸収される量は、私たちが意識しなくても厳密にコントロールされているらしい。
 「生物とは、膨大な化学反応とそれを調節ネットワークだ」と言っているが、まさしくその通り。脳は、この膨大な化学反応を的確に把握し、迅速に処理していく。まさしく、スーパーコンピュータだ。しかも、この例のように、人間はほとんど意識してコントロールしているわけではない。尿の調節機能については明日要約予定。