新聞記事から

 アスベストに関して二つの記事が出ていた。一つは、

アスベスト:濃度調査で361地点問題なし
 アスベスト石綿)による健康被害問題で、環境省は31日、一般環境の大気中の石綿濃度を全国で緊急調査した結果を公表した。クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)など以前、石綿関連製品の製造工場があった地点を含め全国141地域361地点を対象に測定したが、いずれも特に高い濃度はみられず、現時点で直ちに問題となる地点はなかったという。【江口一】
毎日新聞 2006年3月31日 東京夕刊

そしてもう一つは、

アスベスト:露出のビル、マンションは1万1851棟
 国土交通省は31日、アスベスト石綿)が露出している大規模な民間のビルやマンションが1万1851棟(17日現在)に上ったとする報告を発表した。同省は地方自治体を通じて今月までの報告を求めていたが、調査対象となった約25万6000棟のうち回答があったのは約80%にとどまった。
 調査対象は、1956〜89年に建築された床面積1000平方メートル以上のビルやマンション。アスベストの吹き付けが行われていた1万6401棟のうち、対策が取られていたのは4550棟だけだった。
 国交省はまた、国の機関の建築物のアスベスト状況も発表。8万4215棟のうち、アスベストが露出していたのは388棟だった。【長谷川豊
毎日新聞 2006年3月31日 11時54分

 前者は環境省の調査で、
 環境へのアスベスト飛散状況を調査全国141地域361地点で測定した結果、直ちに問題になる地点はなかった。
ことを伝えている。
 後者は、国土交通省の調査でアスベストの露出状況を調べたもの。
 大規模な民間のビルやマンションが対象で調査対象約25万6000棟の80%、約20万4800棟のうち、アスベストの吹きつけが行われていたものが、1万6401棟(8%)。このうち、4550棟(吹きつけタイプの28%)で対策が取られていたが、残りの1万1851棟でアスベストの露出が見られた。
 これに対して、国の機関の建築物は8万4215棟のうち、アスベストが露出していたのは388棟(0.5%)だった。

というもの。
 前者はすんなり読めるが、後者は少し難解。タイトルに書かれた1万1851棟が何を意味しているのか判るまでちょっと時間がかかった。調査した吹きつけタイプの民間のビルやマンションのうち72%で対策がとられていないことを言いたいのだろう。その次の国の機関の建築物の記述は、よくわからない。吹きつけタイプがどの程度あるのか記述されていないので、対策がとられた数がわからない。従って、民間と国の機関の比較が出来ない記述となっている。メジャー新聞なのだからもう少しきちんと情報を伝えて欲しい。
 ちなみに、国の設備に対しての国土交通省のホームページの元記事を見るとちゃんとデータが出されている。調査結果は、9月と12月にも公表されていて、今回の公表は、対策の進み具合を説明する追加調査報告となって順調に対策が取られていることが述べられている。
 民間の元データは、第3回国土交通省アスベスト対策推進本部の配付資料からの引用みたい。こちらも対策の進捗状況と今後の対策を述べている。一部分だけ抜き出し初めて出てきた様な書き方はどうかと思う。