日本WBC世界一おめでとう!

【サンディエゴ(米カリフォルニア州)=中村彰宏】米大リーグの選手が本格的に参加して開催された野球の第一回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は二十日(日本時間二十一日)、サンディエゴのペトコ・パークで決勝を行い、王貞治監督(ソフトバンク)が率いる日本は10−6でアテネ五輪優勝のキューバを破り、初代世界一に輝いた。最優秀選手(MVP)には決勝の先発を含め3勝無敗の松坂大輔投手(西武)が選ばれた。(中日新聞

 久々に野球で感動した。テレビの視聴率も50%と日本全体が盛り上がったことを示している。この盛り上がりを導いたのは、やはりイチローの姿だったように思う。いつも沈着冷静なイチローのはしゃぎ方が我々をWBCに引き込んでいったように感じた。

 世界一を祝う表彰式。日の丸を掲げて王監督の元へと歩み寄った。欲しかった物を手に入れてはしゃぐ子どものような笑顔だった。初代王座に上り詰めた日本の先頭には常にイチローがいた。
 「ものすごいプレッシャーがあった。こんな形で終わるなんて。野球人生で最高の日」
 日本で頂点を極め、海を渡った。野球発祥の国での骨を削り合うような戦いには言葉や感情は無用。寡黙でクールな姿勢をずっと貫いてきた。今大会で初めて見せた感情を素直に吐き出す姿。
「初めて日の丸を背負っている。それが感情的になっている要因。こんな気持ちも初めて」
 2次リーグの米国戦。先頭打者本塁打を放ちながら疑惑の判定に白星を奪われた。「ただただ残念でならない」。2次リーグで韓国に敗れた後はベンチで大声で怒りをぶつけた。「野球人生の中で最も屈辱的な日」。韓国に雪辱した準決勝。「最高に気持ちがいい」。プレーとともに、体の底から気迫をあふれさせてチームを引っ張った。
 決勝も厳しい戦いだった。1点差に詰め寄られた直後の九回。一死一、二塁から直球を右前に運び貴重な追加点。勝利を自らのバットで手繰り寄せた。
 「このチームでメジャーでやりたいぐらい。それぐらい素晴らしいチームだった」。チームメートに賛辞を贈った。第二回大会は三年後の予定。「また声が掛かる選手でいなきゃいけない。そうありたい」。三十二歳、イチローの挑戦に終わりはない。(中日新聞

 インタビューでのイチローの一語一語が、WBCをテレビで観戦する我々に「絶対世界一になる」という感情をもたらした。戦った選手たちには、「本当にご苦労様、本当におめでとう」と伝えたい。