権威をもったものと不特定多数無限大

 梅田望夫著「ウェブ進化論」(ちくま新書)を読んでいる。梅田氏によると、「ムーアの法則」(あらゆるIT関連製品コストは、年率30%から40%で下落していく(広義意味))によってもたらされた「チープ革命」によって、誰もがコストを意識することなく自らが制作したコンテンツを発表できる「総表現社会」が実現し始めているらしい。
 「チープ革命」には、「ムーアの法則」によって下落し続けるハードウェア価格、リナックスに代表されるオープンソース・ソフトウェア登場によるソフトウェア無料化、ブロードバンド普及による回線コストの大幅下落、検索エンジンのような無償サービスの充実といったことが全て含まれる。そして、「次の10年」は、ITに関する「必要十分」な機能のすべてを、誰もがほとんどコストを意識することなく手に入れる時代になるという。
 梅田氏は、「今まで、文書を書く、写真を撮る、語り・対話・議論を録音する、音楽を作る、絵を描く、ホームビデオで録画する、映像を作る、といったことを誰がプロフェッショナルとして行ってよいのかは、プロフェッショナルを認定する権威をもったメディア組織が握っていた。
 しかし、ブログの登場で、不特定多数の人たちがこれらをインターネット上にアップすることが可能になり、マスメディア組織がこれまで表現者の供給量を上手にコントロールしていた需給バランスが崩れ始めた。
 メディアの権威側や権威を認められて表現者としての既得権を持った人たちの危機感は鋭敏である。ブログ世界を垣間見て「次の10年」に思いを馳せれば、この権威の構造が崩れる予感に満ちている。敏感な人にはそれがすぐわかる。」と言っている。(内容を要約しているので一部文章は異なる)