環境ホルモン問題について

 環境ホルモンに関する新たなホームページが立ち上がっている。監修が環境省で、運営がEIC(財団法人 環境情報普及センター)のサイトで、サイト名は化学物質の内分泌かく乱作用に関するホームページ
このサイトに、第8回化学物質の内分泌かく乱作用に関する国際シンポジウムで配られた環境省監修のチビコトという小冊子を見ることができる。
 この小冊子の書評は、中西準子さんの雑感で見ることが出来る。
 この小冊子を読むと、環境省が環境ホルモン問題で重要なのは、本来の女性ホルモンなどのホルモン物質であり、SPEED'98で挙げられた内分泌かく乱物質候補として調査対象とされた化学物質に関しては、研究対象から外していることが伺える。また、魚の性転換に関しても、人間などのほ乳類とは違い生息環境の変化に併せて自然に起こりうることが記載されている。
 気になるのは、このサイトには環境ホルモン推進派と反対派の両方の意見が掲載されていることで、その区別が一目ではわからないこと。小冊子チビコトの中にイギリスのジョン・サンブター教授のインタービュー が掲載されている。教授は、ノニフェノールが魚に対して女性ホルモン様作用があることを発見したが、下水中処理水中に含まれる物質を網羅的に調べると、ノニフェノールがメス化の主な原因ではなく、人間や家畜が排泄する尿中に含まれる女性ホルモンが原因だったことを述べている。
 一方で、コラム・エッセイのページでは自然科学研究機構の井口氏のエッセイがあり、雌化・雄化と基礎研究の中で、ノニフェノールをメダカの雄の精巣に卵を作られることだけが記載されていて、女性ホルモンの作用の方がより強いことが記載されていない。意図的とも思える文章が載っている。これは、明らかに推進派の意見だと思う。
 両方の意見を載せることはいいことだと思うが、違いが明確になるように配置してもらわないと、推進派の重要な部分を抜いたコラムやエッセイは、新たな誤解を生む可能性があるのではないか。