<span style="font-weight:bold;">車社会における環境問題</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 2009(平成21)年3月末の国内自動車保有台数は約7,530万台(国土交通省)で、日本人一人あたりの自動車の数は約0.6台となっています。自動車による環境への影響は、二酸化炭素排出量による地球温暖化、排ガス中の有害物、騒音・振動、使用済み自動車の排気などがあげられます。

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<span style="font-weight:bold;">地球温暖化対策</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 二酸化炭素排出量を部門別に見ると、産業部門に次いで運輸部門が第2位となっています。また、1990(平成2)年度と比較すると2007年度は14.6%増加し、国内総排出量の増加率14.0%を上回っています。車による地球温暖化防止には、以下の対策が考えられます。

  1. モーダルシフト
  2. 燃費のよい車の普及
  3. 低公害車(グリーンエネルギー自動車)の開発、普及
  4. バイオエタノールの活用
  5. 共同輸送の実施
  6. 徒歩・自転車・公共交通機関の活用
  7. ITSの活用
  8. インターネット、テレビ会議など、IT技術の活用
  9. 3PL

 低公害車普及のため、排出ガスおよび燃費性能の優れた環境負荷の少ない自動車に対して、自動車税を軽減されています。また、新車登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車は税率が高くなっています。
 ITS(Intelligent Transport Systems)とは、情報通信技術を使い、人と道路と車輌とを情報ネットワークで結ぶことにより、交通事故、渋滞などの道路交通問題の解決を図るものです。カーナビシステムの高度化、自動料金収集システム、安全運転の支援など、9つの開発分野があります。
 3PL(サード・パーティ・ロジティクス)とは、ファースト・パーティ(製造業者)、セカンド・パーティ(卸・小売業者)の業務を代行し、荷主に最適なシステムを提案する物流サービスです。業者間の輸送回数の減少など、環境負荷の低減が期待できます。

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<span style="font-weight:bold;">排気ガスの有害物対策</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 車の排気ガスには、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)や黒煙(粒子状物質)が含まれ、光化学オキシダント酸性雨など大気汚染の原因となる有害物質も含まれています。特に最近では、ディーゼル車から排出される粒子状物質の発ガン性が指摘されています。そこで、2001(平成13)年に自動車NOx・PM法が制定され、大都市地域で窒素酸化物や粒子状物質の排出の少ない車の使用を促進する法規則が強化されました。

 2009年以降、ディーゼル車に対して、ガソリン車と同等レベルにNOx、PM(粒子状物質)を大幅に削減する規制が行われています。現在、さらなる対策が検討されています。

<span style="font-weight:bold;">モーダルシフト</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 モーダルシフトとは、貨物輸送をトラック輸送から環境負荷の少ない鉄道輸送や船舶輸送に切り替えることです。1トンの貨物を1km輸送するさいの二酸化炭素排出量は、鉄道、船舶と自家用貨物車では、大きな差があります。

 自家用貨物車とは、「自らの荷物の輸送(商店での配送や仕入れなど)に用いることしかできないもの」だそうです。白ナンバーで運送事業で使用されていないものです。図表3−13 1トンの荷物を1km運ぶのに発生する二酸化炭素量(p.109)を見ると、自家用貨物車がダントツに多くなっています。
 欄外にある人の移動当たりの二酸化炭素排出量(g-CO2/人キロ)を見ると、営業用乗用車(タクシー)388、自家用乗用車168、航空109、バス51、鉄道19となっています。タクシーが自家用乗用車より多いのは、乗客を乗せずに流している時間が多いからでしょう。人の移動でも、鉄道が一番負荷が少ない結果になっています。

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<span style="font-weight:bold;">生活者・地域としての対応</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 輸送機関別の二酸化炭素排出量は、自家用乗用車がもっとも多く約半分を占めています。生活者の立場からも、移動に関する環境影響を削減することができます。より燃費のよい車を購入すること、アイドリングストップなどエコドライブを心がけること、公共交通機関を利用すること、相乗りをすること(乗用車の平均乗車人数は1.3人)、自転車に乗ること、歩くことなどです。
 他方、地域レベルでも、パークアンドドライブカーシェアリングなどの制度の導入が進んでいます。また、交通渋滞や大気汚染の著しい地域に入る車量に課金するロードプライシングについては、現在、シンガポール、オスロ、ロンドン、ソウルで導入中であり、一定の効果をあげています。

 輸送機関別で、自家用乗用車が約半分を占めていることは覚えておいてください。この部分にメスを入れることで環境負荷をかなり下げることが可能になります。
 パークアンドライブとは、最寄りの駅、バス停までは自動車を利用し、電車やバスに乗り換えて目的地まで移動する方式をいいます。
 カーシェアリングは、1台の車を複数の会員が共同で利用する自動車の利用形態です。
 ロードプライシングは、道路渋滞、大気汚染対策として、大都市都心部や混雑時間での自動車利用者に対して料金を貸し、交通量を削減するものです。

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