<span style="font-weight:bold;">オゾン層の破壊とは</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 地上から高さ約10数キロメートルから50キロメートルまでの成層圏にはオゾン層があって、太陽光線に含まれる有害な紫外線を吸収する重要な役割があります。このオゾン層により、生物は海から陸地に上陸することができ、多種多様な動植物の生活が守られています(ただし、光化学スモッグ等による地表のオゾンは、有害な物質)。
 しかし、1970年代の終わりごろから、南極上空で南半球の春季(9〜10月ごろ)にオゾンホール(オゾン層が破壊された成層圏)が観測され、2000年には、過去最大規模(面積:3,030万平方キロメートル)のオゾンホールが出現しました。2006年には、過去第2位の規模(2,930万平方メートル)を記録しました。南極上空だけでなく、日本も含む世界各地でオゾン層が薄くなってきていることが観測されています。オゾン層が破壊されると、地表に届く紫外線が増加し、わたしたち人間や地上生物にさまざまな影響を与えます。
 このオゾン層破壊の原因は、人間が人工的につくりだしたフロンガスという自然界に存在しない化学物質であることが明らかになっています。

 p.27の図表2ー4でオゾン層の位置を確認してください。対流圏の上に成層圏があります。
 オゾンホールは南極で記録されています。

目次へ

<span style="font-weight:bold;">フロンの現状は</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 フロンは化学的に安定した性質をもっているため、さまざまな用途に使われていました。日本では、1995年にオゾン層破壊性の大きい特定フロン(CFC)の生産が全廃され、破壊性の小さな代替えフロンに切り替えられています。しかし、冷蔵庫やエアコンの冷媒として使用されている特定フロンが家庭やオフィスなどに残っていますので、これが大気に放出、漏洩しないように回収・処理を行うことが課題となっています。

 フロンは、炭化水素(骨格が炭素で、炭素のまわりに水素が付いている化合物)の水素がフッ素や塩素などのハロゲンに置き換わっている化合物の総称をいうのだそうです。

オゾン層破壊のメカニズム

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 フロンは大気中に放出されると分解されることなくゆっくりと拡散・上昇し、15年程度かけて成層圏に到達します。成層圏に達したフロンは、紫外線により分解され塩素原子を放出します。この塩素原子が触媒となって、継続的に大量のオゾンが破壊されていきます。
 現在、オゾン層を破壊しているフロンは15年前に放出されたものですが、成層圏まで達しているフロンは、全生産量の約10%とされています。そして、約80%が対流圏にあり、今後、成層圏に達すると考えられています。

 無味無臭のフロンは、分解しにくく、人体にも無害だったため、昔は「夢の物質」と呼ばれ、様々なところで使用されていました。
 ところが、安定すぎて、分解されず、15年間かけて成層圏にあるオゾン層に達して、悪さをしていることが判明しました。
 1995年にオゾン層破壊性の大きい特定フロンは、生産が全廃されましたが、オゾン層に達しているのは、全生産量の約10%に過ぎないそうです。約80%は対流圏にあり、今後、成層圏に達すると考えられています。
 触媒とは、特定の化学反応の速度を速める物質で、反応前後でそれ自身は、変化しない物質をいいます。

目次へ

オゾン層破壊の影響

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 オゾン層が薄くなると、有害な紫外線(UV−B)がオゾン層で吸収されずに、地表への照射量が増え、生物のDNAに大きなダメージを与えます。その結果、皮膚がんや白内障などの疾病が増加するおそれがあります。
 オゾン層破壊により、次のような影響が懸念されています。

  1. 皮膚がんや白内障の増加。
  2. 感染症に対する免疫作用が抑制され、疾病にかかりやすくなる。
  3. 動植物の生育を阻害する生態系への影響、農作物の

 日本人を含む黄色人種は、紫外線による皮膚がんや白内障などの疾病には、比較的強いと言われています。深刻なのが、色素が少ない白人で、欧米での皮膚がん率は、日本に比べると高いといわれています。
 ただし、これは、オゾン層が吸収してくれた後に残った比較的効果の低い紫外線に対してです。UV−Bなどの有害な紫外線に対してどういった影響がでてくるかは、現在のところ予想の域をでていません。

目次へ

オゾン層破壊への取り組み

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 国際的な取り組みとしては、1985年に「ウィーン条約」が、また1987年には「モントリオール議定書」が制定されました。その後、規制を強化する改正が行われ、特定フロンの生産を1995年末全廃、代替えフロンHCFCは2020年に全廃することなどが定められました。国内ではオゾン層保護法が1988(昭和63)年に、フロン回収破壊法が2001(平成13)年に制定され、使用済みフロン類の回収・破壊が課題となっています。
 オゾン層保護は、有効な対策が迅速に実行され、地球環境問題の中ではもっとも効果をあげている取り組みといわれています。

 オゾン層破壊とウィーン条約モントリオール議定書は、対で覚えておきましょう。間違い探し問題などで出題されることがあります。

目次へ