<span style="font-weight:bold;">温室効果のメカニズム</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 大気中に微量に存在する温室効果ガスは、太陽から与えられたエネルギーによって地球表面から放射される赤外線を吸収します。大気全体が暖められると、大気はその温度に応じた光を放射し始めます。そのとき、大気は宇宙空間の方向と同時に地球表面の方向にも熱線を放射します。このため、地球表面は再び暖められて温度が上がり、その上がったぶんの放射をし、その放射が再び大気に吸収されて大気を暖めます。大気はさらに赤外線を宇宙空間と地球表面に放射します。この繰り返しで地球表面と大気がお互いに暖めあう、これが温室効果です。(図表2−24参照)
 大気中に温室効果ガスが存在しない場合は、地球表面温度は、−20℃前後で平衡するといわれていますが、大気中に含まれる微量の温室効果ガスによって、現在の地球は+15℃前後に保たれています。ごく微量の温室効果ガスの存在で地球気温が−20℃から+15℃前後に上昇するわけですから、温室効果ガスの増加がいかに脅威となっているかがわかります。(p.60)

 さて、温室効果のメカニズムですが、温室効果ガスのおかげで、太陽から吸収したエネルギーの一部が、宇宙に放出されずに大気と地球の間で循環しながら地球表面と大気を暖めあっているといったイメージでいいと思います。原理は、ビニールハウス(温室ハウス)と同じです。温室効果ガスを含んだ大気が覆っているビニールの役目をして、地球表面を生物が生存できる温度環境に維持してくれているのです。ただ、温室効果ガスは、微量のため、大気中の濃度が崩れると、少しの量の変化でも地球表面の温度に影響がでる可能性があります。

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<span style="font-weight:bold;">温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)</span>

 海底2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより温室効果をもたらす気体の総称。二酸化炭素と、メタン、一酸化二窒素、HFCなどのフロン、SP6などがある。温室効果ガスの濃度は、産業革命以前は、二酸化炭素が280ppm、メタンが0.71ppm、一酸化二窒素が0.275ppm程度であった。しかしそれ以降、急激に増加し、2008年の段階で、二酸化炭素が385ppm、メタンが1.79ppm、一酸化二窒素が0.32ppmにまで急増している。(p.60)

ppm:parts per millionの略で、100万分の一を表す。385ppmとは、1立方メートル中に、二酸化炭素が385ml含まれていることになる。(p.61)

 赤外線は、可視光よりも波長が長い電磁波で、人間をはじめとする地球上に存在するすべての物質が放射しています。例えば、自動ドアのセンサーは、人間が放射する赤外線を感知して、自動ドアに開いたり閉めたりすることを指示しています。
 また、電磁波は、光や紫外線、可視光、赤外線などのすべて波の総称です。波長が短い電磁波ほどエネルギーが高いです。光が一番エネルギーが高く、ここに記載してあるものでは、紫外線(可視光よりも波長の短い電磁波)、可視光(目に見える(色を持つ)電磁波)、赤外線(可視光よりも波長が長い電磁波)の順です。また、エネルギーは高い所から低い所へ移動すると言われますが、高いエネルギーを持つ電磁波から吸収したエネルギーは、それ以下のエネルギーでしか放出されません。熱は、エネルギーがとるかたちの中で一番レベルの低いかたちだと言われています。

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<span style="font-weight:bold;">IPCC第4次評価報告書が示す地球温暖化の影響</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 2007年11月、IPCC第4次評価報告書統合報告書が発表され、地球温暖化の実態と将来の気候変化の予測について自然科学的根拠にもとづいて報告しています。
 温室効果ガスの増加と地球温暖化の因果関係については。「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇は、その大部分が、人間活動による温室効果ガスの大気中濃度の増加によってもたらされた可能性が非常に高い(90%以上)」と結論づけています。

 IPCCは、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって1988年に設立された国連の組織です。話題になったのが2007年なので、新しい機関かと思いきや設置されたのは比較的古い機関なのです。
 つまり、約20年をかけて、データを計測・分析し、第4次報告を出したのです。温室効果ガスの増加と地球温暖化の因果関係に関して自然科学的根拠に基づいて報告されています。結論は、90%以上の確率で「イエス」です。

(1)気候変化(温暖化)を裏づける観測結果
 下記の観測結果から、IPCC第4次評価報告書は「気候システムの温暖化には疑う余地はない」と結論づけています。
?過去100年に、世界平均気温が長期的に0.74℃(1906〜2005年)上昇。この気温上昇は北半球の高緯度で大きく、また陸域は海域と比べて早く温暖化している。
?世界平均海面水位は、熱膨張や氷河などの融解、局域の氷床融解より、1961年以降で年間1.8ミリ、1993年以降で年間3.1ミリ上昇した。20世紀の100年間で17センチ上昇。
?氷雪圏への影響として、氷河の後退、永久凍土の融解、海氷や積雪の融解が進んでいる。キリマンジャロでは、氷河と積雪面積が後退しているのは明らかで、2015〜2020年の間には消失する可能性が高い。
?水循環への影響として、氷河や雪解け水が注ぐ多くの河川で、流量増加と流量ピークの早期化が見られ、湖沼や河川の水温上昇と、水の循環や水質への影響が生じている。
?1978年以降の衛生データによると、北極の年平均海氷範囲(面積)は、10年あたり2.7%減少した。特に夏季においては、10年間あたりで7.4%と、より大きな減少傾向にある。
?生物生態系への影響が世界各地で見られ、新緑や鳥の渡り・産卵などの春季現象の早期化、生息域の極地・高地への移動、生息数の変化などが報告されている。

 100年で0.74℃ぐらいは覚えておきましょう。後は、だいたいの内容を頭の中に入れておけばいいと思います。

(2)今後、予測される気候変化とその影響
 今後の気候変化とその影響を予測するために、図表2ー25の6区分も排出シナリオを設定しています。
 各予測シナリオのいずれにおいても、今後20年間で0.4℃の気温上昇が起こり、それ以降の温度上昇については、各予測シナリオの影響が強まると予測しています。もっとも気温上昇の低いと予測される「B1シナリオ」で1.8℃、もっとも温度上昇が高いと予測される「A1F1シナリオ」で4.0℃(可能性として最大で6.4℃)と報告しています。
 気温上昇による主な影響を図表2ー26示します。に

 図表2ー25のポイントは、上に行くほど経済発展重視のシナリオで、下の方が環境と経済の調和を目指したシナリオだということです。
 一番気温上昇が低いとされているB1シナリオが持続的発展型社会で、環境問題でよくでてくる持続可能な社会がこれにあたります。
 一番低いシナリオでも温度上昇はさけられないことと、4℃以上あがると取り返しのつかない状況になる可能性があることを覚えておきましょう。

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<span style="font-weight:bold;">地球温暖化による経済的影響 スターンレビュー</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 2006年に発表された「スターンレビュー」は、地球温暖化をもたらす気候変動に対して、早急に、しかも断固とした対策をとることが、対策を実施しなかった場合の経済的損失を大幅に軽減できるとの経済的メリットを報告しています。具体的には、今後、何の対策もとらずに気候変動を進行して地球温暖化が続いた場合、世界の年間GDPの5〜20%に相当する損失を被る可能性があると警告しています。一方、早急に対策を実行し、2050年までに温室効果ガスの排出量を25%程度削減して二酸化炭素濃度を500〜550ppmに安定化させた場合、その対策にかかる費用は世界の年間GDPの1%程度ですみ、温暖化にともなう深刻な被害を回避できると予測しています。

 この項目も改訂前テキストにはありませんでした。仕上がって要チェックです。経済効果から環境問題に警鐘をならしたという意味で「スターンレビュー」は有名です。発表された年度とともに覚えておきましょう。
 コラムのゴア元副大統領の「不都合な真実」は、名前ぐらいは覚えておきましょう。

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