<span style="font-weight:bold;">都市化にともなう環境問題</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 都市化における環境問題は、すでに18世紀ごろのロンドンで発生していました。特に、食品廃棄物や排泄物などの廃棄物による汚染や石炭暖房による大気汚染が進行し、19世紀にかけて深刻な問題となっていました。
 現在でも、東南アジアなどの途上国の首都の周辺に大量のごみが捨てられた「スモーキーマウンテン」などと呼ばれる場所があります。
 日本の場合は、都市部から離れた山林や原野への不法投棄などが社会問題になっています。p.50

 ロンドンも例外ではないのですが、大きな川などがあっても水路が町中に引かれている都市は、それほど多くはありません。p.51のコラムにあるとおり、18世紀の江戸は、水路が町中に走る環境都市でした。
 当時のロンドンの空は、元々曇ることが多い土地柄な上、蒸気機関が頻繁に使用されていたため、灰色がかったどんよりとした空でかなり大気汚染が進んでいたといわれています。
 スモーキーマウンテンは、フィリピンマニラ市のゴミの投棄場にスカベンジャー(貧民)が住み着きスラム化した場所をいいます。フィリピンの貧困の象徴として取り扱われるようになり、国のイメージが損なわれるとして、フィリピン政府によって、現在は閉鎖されています。
 日本では、ドキュメンタリー映画として、「忘れられた子供たち−スカベンジャー」が放映され話題となりました。

 日本では、狭い国土に約1億2700万人が生活しており、そのうち東京・名古屋・大阪などの都市圏に人口が集中しています。人口の集中するところは、人々の活動が集中し、さまざまな物が集中し、生活の場である住宅が集中します。その結果、さまざまな環境問題が発生します。
 現代の都市が抱える主な環境問題は、次のとおりです。ほかにも、光害(ひかりがい)都市景観の悪化都市型洪水などの問題が指摘されています。

  1. 人々の生活や事業活動から発生する廃棄物の処理
  2. 自動車の増加・交通渋滞による大気汚染
  3. 住宅や工場・商業施設などの密集による騒音・振動・悪臭などの感覚公害の増加
  4. 森林・緑地不足、コンクリート・アスファルト構造物の増加、エアコン廃熱などにより都市部の気温が高まるヒートアイランド現象

 近年、日本の各地域では、人口の地域間移動の増大や家庭電化製品の普及などにより、”都市型生活”に変わりつつあります。今後、程度の差はあるにしても、日本全国で都市生活型環境問題が発生する可能性があります。p.50-51

 典型7公害のところでふれましたが、光害(ひかりがい)とは、都市化、交通網の発達などによる屋外照明の増加、照明の不適切または過剰な使用などにより、まぶしさといった不快感、信号などの重要情報に対する認知力の低下、農作物や動物への悪影響などで、夜空が明るくなり天体観測などがやりにくなっていることも含まれています。
 この中で一番深刻なのは、ヒートアイランド現象ですが、これは、1コーナーを設けて後述します。

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<span style="font-weight:bold;">騒音に関する苦情の発生状況</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 環境省調査によると。2007(平成19)年度の騒音苦情の件数は16,434件で、前年に比べ758件減少しています。都道府県別で見ると、やはり都市部での苦情件数が多くなっています。東京都が3,183件でもっとも多く、次いで大阪府、愛知県、埼玉県、神奈川県の順となっており、この5都府県で全国の55.1%を占めています。
 苦情件数を発生別に見ると、工場・事業場騒音が33.0%(5,165件)でもっとも多く、以下は図表2ー17のとおりです。発生源の「営業」は飲食店、興行場、娯楽施設などの営業騒音で、「家庭生活」5.8%を見ても騒音が都市生活型公害であることがわかります。p.52

 騒音規制法は、1968年制定。
 昔は、工場が発生原因だったことが多かったのですが、最近では、飲食店や娯楽施設が発生原因になるケースが増えているみたいです。

振動に関する苦情の発生状況

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 2007(平成19)年度の振動苦情の件数は3,384件で、前年に比べ231件、約6.4%の現象となっています。都道府県別では、騒音と同様に都市圏に苦情が集中しています。東京都が833件でもっとも多く、次いで大阪府、神奈川県、埼玉県、愛知県の順となっています。上位5都府県は、騒音苦情と同じです。この5都府県で全国の63.2%を占めています。
 発生源別では、建設作業が61.8%(2,092件)でもっとも多く、前年度と比較すると181件減少しています。以下は図表2ー18のとおりです。p.52-53

 振動規制法は、1976年制定。
 九州新幹線が開通する前後に話題になったのが、トンネル内を走る新幹線の騒音もしくは振動がもとで、トンネル上部に住んでいる住民が低周波振動(ほとんど体感できないほどの微少な振動)で体調不良をこわしたり、突然建物が振動したりする苦情です。
 また、風力発電機のプロペラ音で体調不良を訴える苦情も出始めています。このように、騒音とか振動の問題は、形を変えて常に発生しています。

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<span style="font-weight:bold;">悪臭に関する苦情の発生状況</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 2007(平成19)年度の悪臭苦情の件数は17,533件で、4年連続で減少しました。都道府県別では、東京都、愛知県、埼玉県、神奈川県、大阪府の順となっており、上位5都府県で全国の39.1%を占めています。ただし、前年と比較すると、47都道府県中、32都道府県で減少しています。
 悪臭苦情の近年の特徴としては、従来大部分を占めていた畜産農業や製造工場からの苦情が減少している一方で、飲食店などのサービス業からの都市生活型の苦情が激増していることがあげられます。また、悪臭防止法の規制地域外や「個人住宅・アパート・寮」、「下水・用水」など規制対象外の発生源に対する苦情が50%以上を占めているのも特徴です。騒音・振動・悪臭苦情件数の推移は、図表2ー19のとおりです。p.53

 悪臭防止法は、1971年に制定。もうお気づきだと思いますが、公害に関する法律は、ほとんど1970年前後で制定されています。例外は、土壌汚染防止法で2003年に施工されています。
 図表2ー19のグラフを見ると、振動に関しては、ほぼ横ばいで推移しているのに対して、騒音は明らかに減少傾向、悪臭は平成7年ぐらいから急激にあがり最近では減少傾向にあります。

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