<span style="font-weight:bold;">食物連鎖</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 生物の餌はすべて生物です。草を食べるシカ、シカを食べるライオン、ライオンの死骸はハゲタカに食べられ、最後には土壌生物によって分解され、再び植物によって利用されます。
 このお互いに「食べる−食べられる」の関係が「食物連鎖」で、図表2ー11に示すように植物を「生産者」、動物を「消費者」、遺骸などを処理する土壌生物やバクテリアを「分解者」と呼ばれ、循環する流れとなっています。食物連鎖は、見方を変えれば植物を起点とするエネルギーと物質の循環で、この「環」のバランスが保たれていることが、生態系の健全性を保うえでとても大切です。p.35

 ちょっと、図が見づらいのですが、物質の流れは、植物(生産者)>草食動物(一次消費者)>肉食動物(二次消費者)>土壌生物(分解者)>植物です。
 二酸化炭素は、動物の呼吸や動物の遺骸を土壌生物が分解し発酵させる過程で発生します。発生した二酸化炭素は、生産者である植物が吸収し、植物は酸素を放出します。
 放出された酸素は、消費者である動物が利用します。

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<span style="font-weight:bold;">生態系ピラミッド−食物連鎖の構造</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 食物連鎖の中では、食べられる側は食べる側より数多く生息しています。餌を食べつくせば食べる側も飢え死にすることになりますが、ここでも微妙なバランスが働いています。植物連鎖の生物量を図にすると、生産者である植物を基盤に、一次消費者、二次消費者と続く三角形が図表2ー12のようにつくられます。これは「生態系ピラミッド」と呼ばれ、ピラミッド内の段数が多いほど豊かな生態系です。
 ピラミッドの頂点に立つ動物は上位種といわれ、我が国の豊かな森林生態系ではイヌワシクマタカがこれに当たります。猛禽の保護がよく話題になりますが、単に生息数が少ないというだけでなく、本当にこれらの鳥が生息できる森や生態系をどう保全するかが問われているのです。p.35

 この「生態系ピラミッド」は、何回も出題されているので覚えておきましょう。そして、この図はあくもあでも我が国の森林生態系という限られた系での話です。地球全体で考えれば、人が上位種であることは疑う余地がありません。ところが、その人の数がものすごい勢いで増加しているのです。少なくともイヌワシクマタカの数ではありません。すでに、生態系のバランスが崩れていることを認めざる終えない状況です。

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<span style="font-weight:bold;">生物濃縮</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 1962年、アメリカの科学者レイチェル・カーソンは、「沈黙の春(サイレント・スプリング)」を著し、農薬による環境汚染を厳しく指摘しました。環境中に放出された化学物質はごく微量であっても、食物連鎖の各段階を経るごとに生物の体内で濃縮され蓄積されて、場合によって死に至る毒の連鎖に変わる危険があるという指摘です。食物連鎖によって汚染物質濃度が増加していくことを「生物濃縮」といい、ピラミッドの上位にいる生物ほどその影響を受けやすいことになります。p.36

 公式テキストの巻末の年表(p.222-223)にも写真入りで紹介されているレイチェル・カーソン著「沈黙の春は、環境問題に初めて警鐘をならしたという意味でよく取り上げられる本です。テストにも何度か出題されているので、食物連鎖、DDTと併せて覚えておきましょう。
 DDTは、農薬の一つで、食物連鎖の例としてよく紹介されます。水中に溶けだした微量のDDTが、植物プランクトン→小魚→大きな魚へと食物連鎖が進むなか、大きな魚の体内に水中のDDT濃度の16万倍にも濃縮されていたとの報告があります。そのため、現在は世界的に使用が禁止されています。
 ただ、DDTの危険性に関しては、疑問の余地もあり、2006年にWHOがマラリア予防の方法として、年に一度住居の壁面にDDTを塗布する使用方法を推奨しています。これは、DDTがマラリア撃退に有効であることが証明されているためで、適正量を使用すれば、有効活用できるとWHOが考えているからです。
 食物連鎖の例としては、後述する公害病で有名な水俣病でおきたメチル水銀の蓄積の方が恐ろしい例としてあげられます。工場から海へ垂れ流されたメチル水銀が、小魚に蓄積し、その小魚を食べた大きな魚でも濃縮されて蓄積され、毒性が強くなっていきました。そして、それらの魚を食べた人間が水銀中毒を発症した例です。

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