<span style="font-weight:bold;">地球上の水と淡水資源</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 地球上の水のほとんどは海水(97.5%)で、淡水はわずか2.5%にすぎない。しかも、その2/3は極地の氷河や深層地下水として貯蔵されている。私たち人間を含む生物が利用できる淡水は、地下水の一部と湖沼や河川などに存在するごくわずかな水である。(p.28)

 太陽系の中で地球は地表面に唯一水が存在する星だといわれています。地表面の7割は海に覆われ、そこに存在する水の量は、地球全体の97.5%にあたります。我々が利用できる淡水はわずか2.5%しかありません。その上、淡水のほとんどが地下水や氷河などとして存在しているため、すぐには利用できない環境下にあります。われわれが、利用できるのは、地下水の一部と湖沼や河川などに存在している水のみです。
 日本の平均年間降水量は、約1700ミリで、世界平均の約2倍あります。しかし、利用できる一人当たりの水資源量は世界平均の半分以下だそうです(ちなみに、日本人が一日一人当たり使用する水の量は約314リットル(2004年調べ)p.176)。それでも、普段水不足を感じないのは、多くの水を輸入に頼っているからです。
 といっても、実際に大量の水を輸入しているわけではありません。食糧自給率がカロリーベースで40%しかない日本は、大量の食料を輸入することで、実質的に水資源を海外に頼っているのです。穀物や畜産物を育てるには大量の水が必要です。輸入穀物や畜産物を国内で実際に育てたら、どのくらいの水が必要なのか?この水の量を「バーチャルウォーター」と呼ぶそうです。日本はこのバーチャルウォーターを約年間627億トン輸入しています(東京大学生産技術研究所の沖大幹教授グループ調べ)。
 現在消費している食料の量を考えるとこれらのバーチャルウォーターも無視できない値になるのです。日本は、水資源が豊かな国といわれてる一方で、食糧を海外に依存しているため、大量のバーチャルウォーターを輸入していることを憶えておいてください。

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<span style="font-weight:bold;">海の役割</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

  1. 地上生物に不可欠な淡水の供給源となる。
  2. 二酸化炭素を吸収・貯蔵する。
  3. 海洋生物の生存・成長の環境を与え、海洋資源を育成する。
  4. 海流などの循環によって、物質を移動させ、気候を安定化する。

 海の表層では、大量の二酸化炭素が海水に溶け込み、「生物ポンプ」などによって海の深層に貯蔵されます。海洋の二酸化炭素の吸収量は、地球上のすべての森林が吸収する量の6割と推定されています。
p.29

 地表面の約7割を占める海にも多くの二酸化炭素が貯蔵されています。森林が樹木の体内に二酸化炭素を閉じこめているのと同じように、海でも海で生活する生き物の体を借りて二酸化炭素が貯蔵されています。そのシステムが「生物ポンプ」です。
 海の表層では、大気との間で二酸化炭素のやりとりが行われています。海水に溶け込んだ二酸化炭素は、植物プランクトンなどの光合成に利用され、多くの海洋生物の身体となり、その遺骸はマリンスノーなどとなって海の中・深層に沈降・溶解し、貯蔵されます。
 海洋表層の二酸化炭素をポンプのように深層に送り出すこの生物の働きは「生物ポンプによる海洋の二酸化炭素の貯蔵機能」と呼ばれ、海洋表層の、ひいては大気中の二酸化炭素濃度の安定に大きな役割を果たしています。

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<span style="font-weight:bold;">海・川、土壌、大気が協働して水循環を支える</span>

 改訂2版「eco検定テキスト」(東京商工会議所編著)からの引用。

 川は、わたしたちの生活に重要な水資源を供給してくれます。飲料水や生活用水、農業用水、工業用水、また水力発電など、わたしたちは川とともに発展してきました。文明の発祥地が大河の流域にあることからもわかります。
 また、川は水とともに、上流の森や土中から窒素やリン、カリウムなどの栄養分を運び、河川に豊かな生態系をつくりだします。海まで運ばれた栄養分は、植物プランクトンや海藻を繁茂させ、魚や貝類が生息する海中生態系を育てます。海にたくさんの生物が棲めるのは、川のおかげなのです。
 このように、海と川は、大気・土壌と協働して自然界の水の循環を支え、地球上の生物にとって最適な環境をつくりだしています。

 湖沼や海域などの水域に棲む生物のうち、浮遊生活をおくる生物をプランクトンと呼びます。
 植物プランクトンは、光合成色素をもち、水中の二酸化炭素や窒素、リンなどを吸収して光合成を行っている生物です。
 このほか、海には、海の表層を流れる暖流寒流といったおなじみの海流(図2−6世界の主な海流図)と、表層と深海底にまたがる大きな流れの海洋大循環(図表ー7海洋大循環)があります。この海洋大循環は、北極周辺で海底に沈みこみ、1000年以上かけて世界中の深海底を巡り、再び北極周辺まで戻ってきます。しかし、海洋大循環に関しては、まだその役割が十分にわかっていません。
 地球温暖化問題では、大気温の上昇による海水温のわずかな変化が海洋大循環にどのように影響を及ぼすか、大きな研究テーマになっています。

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