生物体は細胞分裂(有糸分裂)で成長する

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。

 生物体の成長は、細胞が次々と分れることによって行われる。卵は二つの娘細胞に分裂し、それらは次の段階で四つの細胞になり、次に8、16、32、64と増えていく。分裂の起こる頻度は、成長している体の全ての部分でまったく同じではないので、このような倍ずつ増やしていくという数の規則正しさは破られる。しかしこの数列が急速に増やしていくことから考えて、平均してわずか50回から60回次々に分裂すれば、大人の身体の細胞の数ぐらいは十分できる。一生の間に身体の中で細胞が入れ代わることを考えに入れても、たとえば全身の細胞数の10倍は楽にできると推論できる。

 細胞分裂によって細胞は、途中まで2の指数的に増えていく。染色体の末端には、テロメラという末端組織があり、細胞分裂が進むにつれ短くなっていくらしい。そして、ある程度短くなると細胞分裂が止まり、細胞老化になるという。人間の場合、細胞分裂の数がわかっているらしく、約50程度とのことだ。

 前回までのE.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約