科学

数学とは創造するものなのかそれとも発見するものなのか

マーカス・デュ・ソートイ著「素数の音楽 (新潮クレスト・ブックス)」からの引用。 数学とははたして創造するものなのだろうか。あるいは、発見するものなのか。数学者の多くは、自分がなにかを創り出しているという感じと、科学の絶対真理を見出していると…

原子分子程度大きさの世界と巨視的世界の違い

J.v.ノイマン著「量子力学の数学的基礎」からの引用。 原子分子程度の大きさの領域におけるあらゆる事象が量子の“不連続的”な法則によって規制されていることが、疑う余地のないまで明らかに確証された。 さらに、原理的に重要な意義をもつものは、理論…

1から10までの合計を計算する方法

「博士の愛した数式 (新潮文庫)」の中で、博士がルート(家政婦の息子)に1から10の合計を計算する方法を宿題として出す場面がある。ルートは、単純に1から10までの数を足して、55と回答する。 すると、博士は、その方法と違ったやり方で導く方法を…

友愛数

今、友達に借りた小川洋子著「博士の愛した数式 (新潮文庫)」を読んでいる。交通事故で、80分しか記憶がもたない初老の数学博士と家政婦、そしてその家政婦の息子と物語。 まだ、読み始めたばかりなので、詳細は説明できないが、いままで読んだところまで…

ナノテクカーボンでカテキンとタンニンを選択分離

独立行政法人人物質・材料研究機構のプレリリースから。 ナノテクカーボンでカテキンとタンニンを選択分離:操作は混ぜて分けるだけ! 「カーボンナノケージ」を用いるこの方法で、お茶の成分からタンニンのみを選択的に除き、貧血気味の人にやさしいお茶を…

物理の基本的な前提

リサ・ランドール著「ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く」からの引用。 ほとんどの物理の基本的な前提は、素粒子が物質の基本的な構成要素になっているとくことだ。外側の層をはがしていけば、最終的にかならず素粒子に突き当たる。素粒子物理学者は、これ…

粒子でもありながら波でもあるもの

リサ・ランドール著「ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く」からの引用。 粒子でありながら波でもあるものの存在に困惑する人もいるかもしれないが、たしかにそれはもっともだ。ド・ブロイが最初にこの波動説を提唱したときにも、それがどういう意味かをわか…

なぜ、地球が止まっていて、天体が動いているように見えるのか?

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。 私たちが進化した限られた世界では、小さな物体のほうが大きな物体よりも動いている可能性が大きく、大きいほうは動く際の背景と見られる。世界が回転するにつれて、近くにあるために大…

宗教は、内集団/外集団の対立を巡る敵意と確執を物語るラベルである

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。 宗教は疑いの余地なく、不和を生みだす力であり、これが宗教に対して向けられる主要な非難の一つである。しかし、宗教集団あるいは宗派間の戦争や反目が、神学的な意見の不一致について…

明日の皆既月食

明日の8月28日に皆既月食がある。日本全国で見られる皆既月食は、実に6年半ぶりとのこと。皆既月食の詳しい内容は、ここで見ることができる。 ちなみに、東京では、かけ始めた月が、上ってきて18時52分頃から全てが隠れた状態になり、約1時間ほどその状態が…

聖書の本質

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。この本の中でドーキンスは、アメリカ人医師で進化人類学者のジョン・ハートゥングの論文を引用している。そのエッセンスとも言うべき部分が、下記の部分だ。 聖書は、内集団特有の道徳意…

宗教は心理的性向の多岐にわたる、いくつもの副産物

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。 自然淘汰は、親や部族の長老のいうことは何であれ信じるという傾向をもつ脳をつくりあげる。そのような、「疑いを持たず服従する」という行動には、生存上の価値がある。ガが月によって…

ガがロウソクの炎に飛び込むのは、普段は役に立つコンパスが誤作動した副産物である。

リチャード・ドーキンス「神は妄想である―宗教との決別」からの引用。 ガはロウソクの炎に飛び込むが、それは偶然の事故のようには見えない。彼らはわざわざ寄り道して炎に身を捧げるのだ。しかし、それに「焼身自殺行為」という名前を付けた私たち自身が、…

生物体は「負エントロピー」を食べて生きている

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 生物体というものが不思議に見えるのは、急速に崩壊してもはや自分の力では動けない「平衡」の状態になることを免れていることだ。 生きている生物体はどのように…

非周期性の固体

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 小さな分子1個がだんだん大きな結合体を作り上げてゆくのに二つの方法がある。一つは同じ構造を三つの方向に何度も何度も繰り返してゆく方法である。結晶が成長し…

数学的な説明の挿入

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 期待時間をtとし、tは比 [tex:{\tau}e^{\frac{W}{KT}}"/> の関係にある。τはないし程度のある小さな定数である。 ところで、この特定の指数関数は偶然現れた特…

分子の安定度は温度に依存する

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 原子の系が最低のエネルギー状態(絶対温度の零度)の分子を次に高い状態すなわち準位に引き上げるためには、一定量のエネルギーを与えることが必要であり、その…

分子

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 原子の種類と数とが与えられたとき、その系の不連続な一組の状態の中に、最低のエネルギー準位というものが必ずあるとは限らないが、ある場合もあるだろう。それ…

量子論(飛び飛びの状態)量子飛躍

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 量子論による一大新事実は、「自然という書物」の中に不連続性というものが発見されたことである。 原子の大きさ程度の体系は、その本性上、あるいくつかの飛び飛…

X線によって引き起こされる突然変異

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 突然変異が子孫に現れる百分率、すなわち、突線変異率は、両親にX線またはガンマー線を照射することによって、自然に起こる突然変異の僅少な率の何十倍にも増すこ…

突然変異は稀な出来事でなければならない

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 突然変異が、自然淘汰を営む要素として適切なものであるためには、それは希にしか起こらない出来事でなければならない。もしも突然変異がしばしば起こるものであ…

遺伝子の座、劣性と優性

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 突然変異は、一個の染色体の中の一定の部分に起こるある変化により引き起こされる。 突然変異は、生物の型を変えるのにただちに効果を現すか否かに従って、優性あ…

突然変異種は育種可能である、すなわちそれは完全に遺伝する

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 突然変異は完全に遺伝する。突然変異というものは、明らかに親譲りの財産にある変化が起こったものである。 突然変異種がそのまま遺伝するということにより、突然…

不連続な突然変異(自然淘汰の行われる根拠)

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 ダーウィンは、最も均質な集団の中にさえも必ず現れる小さな連続的な偶然変異がもとになって自然淘汰が行われると考えたが、今日ではこの点に関してはダーウィン…

遺伝子の永続性

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 第1の驚異:固体の目に見える外に現れる性質が、何世代にもわたり大きな変化もなく再生産され、数世紀の間持続し、親から子へと伝えられるたびごとに、接合して受…

遺伝子の大きさの限界

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 一個の遺伝子の占める容積は大ざっぱにいって、1辺300オングストロームの立方体の容積に等しい。 300オングストロームというのは、液体または固体の中での原子間…

減数分裂と受精(接合)

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 個体の成長がはじまるとすぐに、一群の細胞が、後になって配偶子をつくりだすために別にしておかれる。その配偶子は、場合によって精子だったりあるいは卵細胞だ…

有糸分裂では、すべての染色体がそれぞれ二つになる

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 分裂してできた二つの「娘細胞」のどちらも、親細胞の染色体とまったく同様な二揃いの染色体を完全に持参している。したがって、全ての体細胞は、その染色体とい…

生物体は細胞分裂(有糸分裂)で成長する

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 生物体の成長は、細胞が次々と分れることによって行われる。卵は二つの娘細胞に分裂し、それらは次の段階で四つの細胞になり、次に8、16、32、64と増えていく。分…

遺伝の暗号文(染色体)

E.シュレーディンガー著「生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波新書 青版)」からの要約。 「四次元的な型」というのは、卵細胞が受精してから、成熟して生殖を行いはじめる成熟期に至るまでの個体発生の全期間に関するものを意味する。 この四次元型の全…