環境

自然地理学

ジェフリー・サックス著「貧困の終焉―2025年までに世界を変える」から引用。 貧困の罠という解釈が適切な診察だとしても、貧しい国のなかで貧困の罠に陥る国とそうでない国ができるのはなぜかという疑問が残る。その答えは、ふだん見逃されがちな自然地理学…

貧困の罠

ジェフリー・サックス著「貧困の終焉―2025年までに世界を変える」から引用。 最貧国にとって大きな問題は、貧困そのものが罠になっていることである。極度の貧困に陥っている場合、貧しい人びとはその窮地から(自分自身で)脱出する力をもたない。それはな…

人口の罠

ジェフリー・サックス著「貧困の終焉―2025年までに世界を変える」から引用。 貧困の罠に陥る理由の一つは、人口の罠にある。貧しい家族ほど多くの子供をもとうとするからだ。その気持ちもわからないではないが、結果は悲惨なことにもなりうる。貧しい家族に…

経済開発の梯子

ジェフリー・サックス著「貧困の終焉―2025年までに世界を変える」から引用。 世界の豊かな地域と貧しい地域のあいだに想像しがたいギャップがあり、そのあいだにさまざまな段階があることがわかる。発展の過程で、科学とテクノロジーが重要な役割を果たして…

鉱物資源のリサイクル状況

顧客向け情報誌に連載している記事を転載。表1をうまく貼り付けられません。文章から類推してください。1.地球にはどのくらい資源があるのか 日本に暮らしていると、お金さえ払えば何でも購入できると思ってしまいます。スーパーに行けば、食料品は手には…

中長期的なエネルギー安全保障の確立に向けて

上記表題の対談が資源エネルギー庁のホームページで見られる。「新・国家エネルギー戦略」についての座談会なのだが、原子力発電に関して、非常に予想が甘い感じがした。対談を行っている有識者3人とも、原子力発電推進派のようで、もっと比率を高めるべき…

大陸地殻の元素組成

基礎地球科学(朝倉書店、2002年)によると、大陸地殻の元素組成(元素体積%)は、以下のようになる。 O 93.8%、 Si 0.2%、 Al 0.6、 Fe 0.5%、 Ca 1.4%、 Mg 0.5、 Na 1.3、 K 1.7%、 その他 0.6% 私たちの足下にある大陸地殻の元素組成は、重量%では…

捕鯨問題と漁業

「複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線」(草思社)の著者であるマーク・ブキャナンは、その著書の中で、日本が捕鯨再開の理由としてあげている「くじらこそが魚の個体数減少の原因だ」という主張に対して、そうではないと主張する。捕鯨が活発…

WHOの方向転換

読売新聞の新聞記事。WHOがDDTの使用を推進するというもの。 マラリア制圧へ「DDT」使用拡大訴え…世界保健機関 【ワシントン=増満浩志】世界保健機関(WHO)は15日、ワシントンで記者会見を開き、「マラリア制圧のため、DDTの屋内噴霧を進…

植物由来プラスチックの研究開発動向

文部科学省の科学技術動向センターが発行している科学技術動向8月号に「植物由来プラスチックの研究開発動向−自動車ナノ複合ポリ乳酸の視点から」が掲載されている。 この中で、今後の課題として、1.低コスト製造プロセスの開発と2.国際的な食料需給へ…

市民はなぜリスクを理解できないのか

安井至先生のホームページ「市民のための環境学ガイド」で有害物質に関してのコラムが掲載されている。その中で、「環境フォーラム」で使ったPPTファイルがあり、その真ん中当たりに「市民はなぜリスクが理解できないか」の理由が記されてある。 理由は5…

アメリカのセルロース性エタノール戦略

アメリカのセルロース性エタノール戦略マップが2006年7月に公表されている。これは、米国エネルギー省(DOE)が発表した「セルロース性エタノールの利用に向けての障壁の解決」という報告書の中で述べられている。詳細は、ここで見られる。 ブッシュ…

ひさびさの環境ネタふたつ

食品安全情報ブログで紹介されている記事2点を紹介する。 今日食べられている魚の約半分は養殖 本日発表された「世界の水産養殖業2006」によれば、1980年には人の消費する量のわずか9%が養殖であったが、今や43%になった。養殖魚は毎年4億5500万トン、630億…

日本化学工業協会の対応

NHKのためしてガッテンで放映された「環境ホルモン」に関して、日本化学工業協会が意見書をNHKに送った内容が公表されている。適切な対応だと思う。番組の偏りに関して言及しているし、環境ホルモンに対する対応方法に関しても妥当だと思う。 このホー…

EUの環境指標

白田秀彰著「インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]」から引用した英米法と大陸法の歴史的背景とイギリスの法と慣習 を踏まえて見ると、EUの環境対策に関して、今までと別の見方ができるかもしれない。例えば、NEDOが出し…

7月7日付けで、環境省から7月4〜5日に行われた中国、韓国、モンゴル、そして日本が参加した非公式対話のポイントが記載されている。 テーマは、 2013年以降の気候変動枠組みのあり方に関して、開発・エネルギー安全保障、技術開発・移転、クリーン開発…

読売新聞 編集委員 小出重幸氏へのインタービュー

今月のPVC newsの「視点・有識者に聞く」で読売新聞の編集委員である小出さんへのインタビューが掲載されている。メディア側にいらっしゃる方の中では環境問題に対してバランス感覚を持っている方だと思うので、インタビューで話されているいくつかを…

予防的な取組方法(Precautionary Approach)と予防原則(Precuationary Principle)

五月兎の赤目雑感に、Precautionary Principle とPrecautionary Approachの違いが書かれている。ちょっと古い資料になるが、約2年半前の化学物質と環境円卓会議(第8回)議事録で、この問題が討議されている。ゲストとして、参加された千葉市環境保全部長(…

遺伝子プール

「生命進化の8つの謎」7章性の起源からの引用 動物や植物、そして一般に真核細胞での性の過程の本質は、両性の性細胞である「配偶子」の融合によって「接合子」という一個の細胞が生じ、そこから出発して新しい個体ができてくることである。配偶子は標準的…

「奪われし未来」と「沈黙の春」に対する批判

松永和紀のアグリ話に、アメリカやヨーロッパで「奪われし未来」や「沈黙の春」に関して、批判がおこなわれていることが、載っている。全文はここをクリック。 内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)の危険性をいち早く訴えたと世間では評価が高い「奪われし未…

経済産業省のエネルギー政策5目標に対する考え方

経済産業省が出したエネルギー政策5目標の解釈について、安井先生の今月の環境と読売新聞の社説に批評が載っている。 読売新聞の社説では、今回の戦略のポイントは、安全保障だと述べている。今まであげていた自由化による価格の引き下げをはずし、安全保障…

通訳養成の必要性

安井至先生の「市民のための環境学ガイド」で「環境研究の将来と語学力」が述べられている。その中で俯瞰型研究を進めていくためには、語学力が必要だと述べられている。俯瞰(ふかん)とは、高いところから見ること。ただ、ここで言っている俯瞰型研究は、…

国際計画を変える可能性のある飢餓に関する5つの驚くべき事実

食品安全情報ブログに、ユニセフのRainer Gross博士らによる意見が載っている。 「るいそう(痩せ)」は体重/身長比が低いことと定義され、その国の子どもの15%以上が痩せの場合危機が宣言される。子どもたちの栄養不良について解析した。 1つめは一般に信…

集中大量生産から分散適量生産へ(2)

引き続き、超臨界流体技術と分散型製造プロセスの構築から。 持続可能な社会において、このような分散適量生産が製品に応じた適正規模で、各地域で行われ、それぞれの地域で必要な量を地域内の物資の循環と自然エネルギーの流れを用いて自給自足される。ここ…

集中大量生産から分散適量生産へ(1)

引き続き、超臨界流体技術と分散型製造プロセスの構築から。 20世紀の物質文明は生産技術の進歩によることはもちろんのこと、集中大量生産による製品単価の驚くべき引き下げ効果によるところが大きい。化学プロセスの製造コストはおおよそ生産量の0.6乗…

太陽エネルギーは化石資源に代わり得るのか

引き続き、超臨界流体技術と分散型製造プロセスの構築から。 「太陽エネルギーは化石資源に代わり得るのか」−この質問は、太陽エネルギーの全面的利用に際して、殆ど否定的な意味で使われているが、極めて愚問である。先に述べたように太陽エネルギーに換え…

持続可能な社会とは

一昨日、埼玉県総合技術センターで行われた産学官セミナーで、東北大学名誉教授の新井邦夫先生の話を聞かせていただいた。タイトルは「超臨界流体技術と分散型製造プロセスの構築」。後半分は時間もなくなり端折った説明になってしまったが、前半部分の持続…

EUのRoHS規制

安井先生の市民のための環境学ガイドでEUのRoHS規制について書かれている。5/14の日記で、予防原則について引用したが、より詳しい解説がなされていた。EUが予防原則になってしまう理由として、EUが作られたときの条約174条を揚げている。 A…

黒体放射

近藤純正著「地表面に近い大気の科学」から。5/11の地球温暖化の資料の補足資料。 太陽、地球、大気などあらゆる物体の出す放射量の大きさはその温度に依存する。放射量の大きさは、最大の放射量を出す黒体を基準にするとわかりやすい。あらゆる物体は、たえ…

EUの予防原則

脇阪紀行著「大欧州の時代」からの引用。 環境や人間の健康を守るために、とくに重視されているのが、環境破壊や健康被害が現実に引き起こされる前に対応処置を取る「予防原則」である。確固たる科学的証拠がなくても、危険性が十分疑われるならば、使用や販…