防災訓練

昨日、会社の防災訓練があった。3月11日の大震災があった影響か、今年の参加人数は多いという。来週から設置されるAEDの説明があった。心肺停止状態にある人を救うための機械である。

  • まずは、息をしていないことを確認する。右肩をたたきながら意識確認を3回する。
  • 反応がない場合は、耳とほほを倒れている人の鼻先に近づけ、音と温度で、息をしているかどうかを確認する。
  • 息をしていない場合は、倒れている人のあごを上に持ち上げ、鼻を押さえ、2回息を吹き込む。このとき、息を思いっきり吹き込むと、胃の中のものが逆流し、気道を逆にふさいでしまう恐れがあるので注意が必要。
  • 片手をパーの状態で伸ばし、もう片方の手を甲側から握るようにしてあてる。その状態で両肘を伸ばした姿勢で、両乳首の真ん中あたりに手を置く。両手に体重をかけるようにして、胸骨圧迫を三十回繰り返す。
  • AEDの電源を入れる。電極を心臓をはさむかたちで設置する。このとき、体が汗や水で濡れていないこと、湿布薬、貴金属などがついていないこと、ペースメーカーが埋め込まれていないかをチェックする。
  • AEDの解析中は、患者の体に触れないようにする。
  • AEDから「ショックが必要です。」とアナウンスがあったら、オレンジのボタンを押す。
  • ショック終了後、胸骨圧迫を三十回おこない、息を2回吹き込む。この作業を2分回繰り返す。
  • 救急隊が到着した場合は、それまでおこなったショック回数と心肺蘇生作業を報告する。AEDは患者に取り付けたままにしておき、救急隊が外すまでいじらない。

異常が、緊急時の対応となる。はたして、できるのだろうか?

シングル・モルト・ウィスキー

 村上春樹著「もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)」からの引用。

 それぞれにきりっとしたパーソナリティーがあり、アロマによって生産地が特定できるというのも、シングル・モルトの素敵な特長のひとつである。スコッチではそれができない。シングル・モルトの世界には、ワインと同じように、パーソナリティーというものが厳然と存在する(想像がつくように、それは蘊蓄の温床ともなりうる)。だからスコッチには氷を入れてもいいけれど、シングル・モルトには氷を入れてはいけない。赤ワインを冷やさないのと同じ理屈で、そんなことをしたら大事なアロマが消えてしまうからだ。アイラのシングル・モルトには、とにかく根強いファンが多い。クセはあるが、このクセが文字どおりくせもので、一度好きになったら離れられなくなる。

 恥ずかしながらシングル・モルト・ウィスキーを飲んだことがない。この文章を読んでいると、どうしてもアイラ島シングル・モルト・ウィスキーが飲んでみたくなる。
 昨日、浅草の松屋で会社帰りに調べてみたら、一本1万円前後で2種類のシングル・モルト・ウィスキーが売っていた。
 この本によると、アイラ島には七つの蒸留所があるらしい。七つのシングル・モルト・ウィスキーは下記のとおり。

ベニズワイはメタン好き、日本海底に密集

 2010年8月19日の読売オンラインの記事。

東京大などの研究チームは18日、新潟県沖の日本海の海底で、大量のメタンが湧出
ゆうしゅつ
する場所を好んで、ベニズワイガニが密集していることがわかったと発表した。

 メタンを湧出する環境がベニズワイガニにとって良好なエサ場となっていると見られるが、詳細は不明。日本海には、白いシャーベット状のメタン化合物の塊で、燃える氷として注目される「メタンハイドレート」が埋蔵されている可能性があり、研究チームの松本良・東大教授は「カニの密集を調べることで、メタンハイドレート探査の手がかりになる」と期待している。

 研究チームは、メタン湧出地である新潟県沖はベニズワイガニの一大生息地であることに着目。海中ロボット「ツナサンド」を使い、ベニズワイガニが生息する直江津港沖合30〜40キロの海底12か所(各800平方メートル)を連続撮影した。

 大量のメタンが湧出する9か所では、通常の生息密度の数倍〜約80倍、最大3341匹ものカニが密集していた。メタン放出が少ない残り3か所は平均か全くいなかった。

 カニは、メタンを起源とする炭酸塩などでできた岩や、メタンを栄養源とする微生物の集合体「バクテリアマット」などに特に密集。そこではエサとなる生物が豊富と見られる。

(2010年8月19日01時53分 読売新聞)

 ぼくらにとっては、普段はのぞけない非日常的な場所。でも、カニにとっては日常的な場所なのだろう。

人口ははるか以前に、地球の食物生産量を超えていた

 トーマス・ヘイガー著「大気を変える錬金術――ハーバー、ボッシュと化学の世紀」(みすず書房)からの引用。

 クルックスの演説から百余年、人口は倍増し、また倍増し、これから二、三〇年でまた倍増する見込みだ。人口ははるか以前に、地球の食物生産量を超えてしまっている。たとえ最高の有機農法を実践しても、伝統的な農業で生産できる作物量で、地球に生きられるのは四〇億人でしかない。ところが現在、地球の人口は六〇億を超え、さらに増えつづけている。おまけに私たちは、クルックスの時代より多くのカロリーをとっている。
 クルックスの不気味な予言と現在の肥満の蔓延の間に、ある重大な発見がありそれが地球を救ったのだ。この本はその発見についての物語である。(P.19)

 この事実をすべての人が認識すべきだろう。最高の有機農法を実践しても地球で生きられる人の数は四〇億人に留まる。大気中の窒素を固定窒素として、利用できるかたちにできたことが、四〇億人を超える人口を支えているのだ。
 大気中の窒素を取り込めるようになる前は、生物が排出した窒素が微生物により分解され、結晶化されて析出したもの(硝石)が唯一の固定窒素だった。そして、それをめぐって特に欧米各国が競ってそれを手にしようと世界中を走りまわっていた。その目的は、肥料として食物を得るため以外に、弾薬を作るためでもあった。

クルックスの予想

 トーマス・ヘイガー著「大気を変える錬金術――ハーバー、ボッシュと化学の世紀」(みすず書房)からの引用

 一八九八年年、イギリスのプリストルにある音楽ホールで、白くなりかかったあごひげと口ひげをきれいにそろえ、ワックスで長い針のように固めた細い男が、ある予言を発した。(略)「イギリスをはじめとするすべての文明国家は、いま死ぬか生きるかの危機に直面している」
 クルックスの声は明瞭で、話しかたは穏やかだった。ホールには沈黙が広がり、聴衆は緊張して彼の次の言葉を待った。彼は説明を続ける。このまま何も手を打たなければ、とくに先進国家の多くで、おびただしい数の人間が餓死しはじめるだろう。これは二つの単純な事実から考えて、受け入れざるをえない結論だ。その二つとは「人口が増えていること」その一方で「食物の生産量が減っていること」だ。近年、衛生状態の向上と医療の発達のおかげで、しばらく前から人口は増えつづけていた。水道の整備や消毒薬の使用などがその例だ。これらは人類の大きな勝利である。しかし同時にそれが驚異を招いている。人口がふえているのに土地は限られている。さらに作物を育てる範囲はそれより少ない。その土地がすべて耕され、できるかぎりの作物が植えられている間にも人口は増えつづける。感度も作物が植えられた土壌はやせていく。そうなれば必ず集団的な飢餓が起きるだろう。彼は独自の調査結果から。一九三〇年前後から多くの人が飢餓によって命を落としはじめると推測した。(p.10-11)

 これは、一九世紀末の予想である。人口増加に対する危惧はこのころもあったらしい。ただ、その危惧の内容は作物不足による飢餓であり、現在の地球温暖化ではなかった。
 この本、「大気を変える錬金術」は、空気から固定窒素をつくるハーバー=ボッシュ法を発明した二人の化学者の物語らしい(まだ最後まで読んでいないので断定できない)。その物語の入り口でこのクルックスの予想が登場する。その後、一八世紀から一九世紀にかけて世界規模で天然肥料の争奪戦起こった事実を伝え、二人の物語へと進む展開みたいだ。
 一九世紀末の人口はおそらく二〇億人程度だっただろう。その時点で、食物を育てられる土地にかぎりがあること、天然肥料には限度があり、人口増加のスピードに追いついていけないことを一部の科学者が気づいていたのだ。
 現在の地球温暖化に疑問を呈する人が数多くいるように、この時代も飢餓に対する危機感は少なかったらしい。
 しかし、飢餓に関する危機は多くの人たちが想像していたよりももっと過酷なものだった。
 現在、我々の中にも、地球温暖化に疑問を持っている人は多いかもしれない。しかし、ここで見方や対処法を間違えるととんでもない現実が訪れる可能性がある。
 そんなことを予感させる本になりそうだ。

誰にミック・ジャガーを…

 村上春樹著「走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)」からの引用。

 僕は今、五十代の後半にいる。二十一世紀などというものが実際にやってきて、自分が冗談抜きで五十代を迎えることになるなんて、若いときにはまず考えられなかった。もちろん理論的にはいつか二十一世紀が来るし、(なにごともなければ)そのときに僕が五十代を迎えているというのは自明の理なのだが、若いときの僕にとって五十代の自分の姿を思い浮かべるのは、「死後の世界を具体的に想像してみろ」と言われたのと同じくらい困難なことだった。ミック・ジャガーは若いときに「四十五歳になって『サティスファクション』をまだ歌っているくらいなら、死んだ方がましだ」と豪語した。しかし実際には彼は六十歳を過ぎた今でも『サティスファクション』を歌い続けている。そのことを笑う人々もいる。しかし僕には笑えない。若き日のミック・ジャガーには四十五歳になった自分の姿を想像することができなかったのだ。若き日の僕にもそんなことは想像できなかった。ボクにミック・ジャガーを笑えるだろうか? 笑えない。僕はたまたま、若くて高名なロック・シンガーではなかった。僕がどんなに愚かしいことを言ったとしても、誰も覚えていないし、したがって引用されることもない。ただそれだけのことではないか。

 そう、僕も50歳の自分を若い頃に想像することはできなかった。子どもの頃、大人になった自分が想像できなかったように、老いていく自分の姿を想像することは難しい。だって、だれもが初めて経験することだからだ。だから、僕もミック・ジャガーを笑えない。
 二十一世紀を迎えるころには、40歳を超えていることを子どもの頃考えたことがあった。そのとき僕は、「そんな先のことは、想像できない。」と思った。今を考えるだけで精一杯だと。ミック・ジャガーもそういう意味を込めてこの発言をしたのじゃないだろうか。「こんなに忙しい生活を送っているのに、そんな先のことを考えること自体がばかばかしい」と。

ウイルスって何からできているの?

 岡田吉美著「ウイルスってなんだろう (岩波ジュニア新書)」からの引用。

 最初に純粋な形で分離されたウィルスは、TMV(タバコモザイクウィルス)です。第1章3で述べたように。TMVはタンパク質らしいという予想で、タンパク質の精製法をそのまま使って精製され、そして見事に結晶化されました。予想通り大部分がタンパク質でしたが、RNAという核酸も含まれていることがわかりました。正確な分析の結果、TMVは95%のタンパク質と5%のRNAからできていることがわかりました。TMVは核酸とタンパク質の複合体だったのです。

 ウイルスの種類によって核酸がDNAだったり、2本鎖のRNAだったりするそうですが、基本的にはウイルスは、核酸とタンパク質の複合体だそうです。
 TMVの場合、RNAをタンパク質が覆い隠すように構成されています。
 さて、核酸すなわち遺伝子をウイルスが持っているということは、他の生物の細胞を利用しなければなりませんが、増殖が可能だということです。ただし、その一方で結晶化するということは、規則正しく整列した化学物質でもあります。細胞に触れないで存在しているときはただの化学物質であり、細胞に触れて遺伝子をコピーできる環境が整うと増殖します。実にやっかいな存在です。
 人間は、生命を維持するために必要なビタミンを自分の力で合成することができません。そのため、合成できる他の生物、豚とかオレンジやレモンなどから接種するしか方法がありせん。ウイルスも他の力を利用しないと増殖することができません。そういう意味では、ウイルスも生きものなのかもしれません。
結論は、専門家に委ねますが…。